第三章
[8]前話
だが兄は弟に会った時に心配そうに彼に話した。
「お前はやはりな」
「気が荒くてだね」
「聞いている、ドッグファイトが多いな」
「それが私のスタイルになっていてね」
航空戦の時のそれとだ、弟は兄に答えた。
「だからだよ」
「そうして戦っているな」
「そうなんだ」
「ドッグファイトは危険が多い」
敵機に接近しての格闘戦はというのだ。
「不慮の事故もある」
「だからだね」
「私としてはだ」
兄は自分の激しやすくそうなると周りが見えなくなる性格を踏まえて話した。
「勧められない」
「ドッグファイトはだね」
「そうだがな」
「気をつけるよ、ただ私もエースになって」
「そしてだな」
「兄上の名を、そしてリヒトホーフェン家の名を汚していないかな」
「逆だ、高めている」
兄は弟も微笑んで答えた。
「お前は充分以上の活躍をしてくれている」
「それは何よりだよ」
「この兄にしてこの弟ありとまでな」
「言われているんだね」
「そうだ、だからな」
そうなっているからだというのだ。
「お前はこれからもな」
「このままだね」
「戦っていけばいい」
ドッグファイトは勧められないがというのだ。
「そうしていけ、いいな」
「それではね」
「そしてドイツの為にな」
「戦っていくことだね」
「長引き大変な戦いとなっているが」
犠牲も多い、文字通りの総力戦となっているがというのだ。
「それでもな」
「祖国の為にだね」
「戦っていくぞ」
「リヒトホーフェン家の者として」
「兄弟でな、いいな」
「そうしていこう」
弟は兄の言葉に笑顔で返した、そうしてだった。
彼は戦場に出続けた、空では敵機に接近し激しく動き攻撃を加えるドッグファイトで敵機を撃墜していき。
四十機撃墜の大エースとなった、兄の八十機には大きく負けるが。
それでも戦史に残る大エースとなった、彼は決して兄の名を辱めなかった。それどころか見事なエースとして名を残した。
そして当時だけでなく一次大戦から百年以上経ってもだった。
「お兄さんも整った外見だがな」
「弟さんもだな」
「かなり整っている顔立ちだな」
「身体つきも軍人らしく引き締まっていて」
「美形だな」
「まさに空の騎士よね」
当時彼のプロマイドは兄のそれと共に好評で今もだった。
整った容姿でも評判だった、そちらでも兄に負けていない。そうした評価であった。
弟も 完
2021・12・15
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