第一章
[2]次話
弟も
マンフリート=フォン=リヒトホーフェンはまさに英雄であった、撃墜王でありかつ騎士道を尊重する軍人として知られていた。
そしてその弟のロタール=フォン=リヒトホーフェンであるが。
「兄上が英雄と言ってもな」
「弟がそうだとは限らないからな」
「同じ戦闘機乗りになっても」
「それでもな」
「兄上と同じ活躍が出来るか」
「それはどうかな」
「戦争は過酷なものだ」
この現実を語るのだった。
「初陣でかなり死ぬ」
「そして二度目でもな」
「それが戦争だ」
「英雄になれるなんて滅多にない」
「多くは戦場の露になる」
「それが英雄の弟殿でも同じだ」
「果たして弟殿も英雄になれるか」
戦争を知る者達は彼を懐疑的に見つつ語った。
「それは疑問だ」
「戦死する可能性が高い」
「まして今の戦いは死傷率が高い」
「空でも同じだ」
「兄弟揃って英雄になれるか」
「その可能性はまずない」
こう言いつつロタールを見ていた、このことはロタール自身も聞いていてわかったいた。だがそれでもだった。
彼は冷静にだ、兄であるマンフリートに話した。
「兄さん、私もだよ」
「撃墜王になるか」
「リフトホーフェン家の者としてね」
こう言うのだった。
「そうなるよ」
「その意気ならよし」
兄は微笑んで答えた。
「ならば戦場でそれを成し遂げることだ」
「戦争でのことは戦場で成す」
「だからだ、いいな」
「そうしてくるよ」
「それが容易いことではなくともだ」
兄は弟に厳しい声で告げた。
「言うならばだ」
「成し遂げてみせるよ」
「騎士は言葉に出したことは誓いとなる」
兄はこうも告げた。
「そして誓いはだ」
「果たさなくてはならない」
「お前は今私に誓った、ならばだ」
「その誓い果たすよ」
「そうするのだ、ただお前は荒々しいところがある」
今度は忠告をした、兄として。
「それが戦いにも出る、それは気をつけることだ」
「くれぐれもだね」
「そのことを忘れるな」
「そして兄上と同じく」
「空で戦うな」
「そうするよ」
弟は再び誓った、そうして戦場に出た。彼は愛機を駆って空の戦場に姿を現した。そうしてであった。
初陣を生きてかつそれからもだった。
戦場を駆った、その中で撃墜もしていき。
すぐに十機撃墜しエースとなった、当時は五機ではなく十機撃墜で認められた。
これを見てだ、多くの者は唸った。
「これが血か」
「リフトホーフェン家の血か」
「兄上だけでないか」
「弟殿もエースか」
「兄弟揃ってエースとなるとはな」
「そして英雄になったか」
「これは凄いな」
最初彼を危惧する者もいたが今はいなかった。
[2]次話
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