第一章
[2]次話
鷹の羽衣
炎の神ロキはその頭の回転と要領のよさを買われて度々主神オーディンから仕事を頼まれる、それは今回も同じで。
早速その仕事にかかったがその仕事では。
「これが人間の国の果てに行くからな」
「それでなのね」
「そうだ、それでだ」
美の女神フライアに彼女の館の中で話した。
「またそなたのところに来た」
「あれを借りに」
「鷹の羽衣をな、それでだ」
ロキはここでだった。
多くの金オーディンがグラウプニルから出したそれを出した、そして美味い蜜酒も出してフライアに話した。
「金はオーディンから、酒は私からだ」
「それと交換で貸して欲しいのね」
「今回もだ、いいか」
「オーディンから言われた仕事、それに貴方との縁を考えるとね」
「そうしてくれるか」
「断わる理由はないわ、では渡すわ」
「宜しく頼む、あれがあるとな」
鷹の羽衣、それがというのだ。
「全く違う」
「あれを羽織ると鷹に姿を変えられるわ」
「そして何処でも瞬く間に飛んで行ける」
「相当に便利なものよ」
「移動にあんな便利なものはそうはない」
ロキも手放しで褒めた。
「オーディンの馬のスレイプニルもだがな」
「私の羽衣もね」
「有り難い、ではな」
「ええ、今から貸すわ」
「宜しく頼む」
ロキも応えた、そうしてだった。
ロキはフライヤからその羽衣を借りた、するとすぐにその羽衣を羽織って鷹に姿を変えて飛んで行った、その鷹は普通の鷹よりも遥かに速く飛び。
目指す場所に瞬く間に飛んで行きすぐに仕事を果たして戻った、それでロキはフライヤに明るい笑顔で話した。炎の様な赤い髪と目もそうなっている。見れば服も赤く麗しい金髪碧眼で服も金色のフライヤとはそれぞれの司るものが違うことが出ている。
「今回も助かった」
「そうなのね」
「まことにな、これ程有り難いものはない」
フライヤに羽衣を返しつつ述べた。
「全く以てな」
「それは何よりね」
「うむ、ではまた何かあってな」
「必要となった時に」
「使わせてもらいたい」
こうフライヤに述べた。
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