第三章
[8]前話
「随分と見事な感じよ」
「風格があるかな」
「これまでよりも遥かにね」
「そうなんだな」
「元々あなたは背が高いし」
しかも体格もいい、元レスラーだけあって。
「そのこともあってね」
「尚更いいんだね」
「ええ」
妻は夫にその通りだと答えた。
「だからね」
「それでだね」
「これからもね」
「お髭を生やしていくといいわ」
「そうしていくね」
「これなら」
妻は夫のその目を見てさらに話した。
「これまでよりも注目されて」
「そしてだね」
「大統領にもね」
「なれるね」
「なれるわ、よく教えてもらったわね」
「全くだよ、ではこのお髭は」
リンカーン自身も言った。
「生やしていくよ」
「そうしたらいいわ」
「私のトレードマークにするよ」
笑顔でこう言ってだった。
「そうしていくよ」
「ええ、私も賛成よ」
「それではね」
笑顔で応えてだった。
リンカーンはそれからも髭をたくわえていった、するとだった。
彼は以前よりもさらに注目される様になり演説も政策もそうなった、そうしてだった。
「大統領にもなったわね」
「うん、これから私の政策を実現していくが」
ホワイトハウスに入ったリンカーンは妻に答えた。
「大統領になれたこともだよ」
「お髭のお陰ね」
「その一部であることは事実だよ」
「そうね」
「何かが足りないなら補えばいい」
「そして選挙に勝つには注目されるべきで」
「その為には見栄えも必要だからね」
それが現実だからだというのだ。
「私は女の子の手紙のアドバイスからお髭を生やした」
「その結果として大統領になった」
「そうだからね」
「よかったわね」
「全くだよ」
笑顔で言うのだった、ホワイトハウスの中で。
リンカーンは最初は髭は生やしていなかったがある少女の手紙で生やした、そしてそれが彼のトレードマークになり後世にも伝わっている。髭のない彼は想像出来ないがそのことにはこうしたはじまりがあったのである。
大統領の髭 完
2022・1・14
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