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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第120話『雨男』
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闘による魔力の消費に、長時間の予知による集中力の低下。それらは未熟な晴登のキャパをとうに超えていた。そして今しがた壁に激突した衝撃がトドメとなり、プツリと"風の加護"が途切れる。


「何だ? 魔力切れか? せっかく面白い所だったのに」

「はぁ……はぁ……」

「まぁいい。今回は俺の勝ちだな。今度はお互い万全の状態で戦おうじゃないか」

「ま、待て……」


呼吸が苦しくなり、意識が朦朧とし出す。典型的な魔力切れの症状だ。これ以上は戦うことはおろか、立ち上がることさえままならない。

意気揚々と彼に立ちはだかったまでは良かったものの、やはり結果はこのザマだ。予知するまでもなくわかっていた。
自分は勇者でもヒーローでもない。自惚れるな三浦 晴登。お前は弱いのだ。


「くそっ……!」


勝負に負けて、みんなを救えなかったという不甲斐なさもあるが、自分が弱いという事実が何よりも悔しかった。なけなしの力で、唇を噛み締め、拳で地面を叩く。


──そのまま晴登の意識はプツリと途絶えた。







「ふぅ、俺も少し力を使いすぎたか」


壁を背にして項垂れる晴登を横目に、雨男は額を押さえる。期待していた程ではなかったが、それなりには楽しめた。自分に唯一攻撃を当てたという点は評価に値する。
だが、3連戦もするとさすがに疲れた。


「兵の数も減らされたし、どうやら作戦の完遂は無理そうだな」


周りを見渡すと、連れて来た兵士は半分以下にまで減らされ、戦況も芳しくない。このままだとやられるのはこちら側だ。残念ながら、作戦を1つに絞ることにしよう。


「という訳で、こいつはいただくぜ」


雨男はつかつかと山本たちの元へ歩み寄り、杖を無理やり奪う。抵抗はされたが、水弾で吹き飛ばしたら大人しくなった。


「今回はお前らの勝ちでいい。だが、次はどうかな」


ひとまず最優先事項である杖の奪取には成功したので、もう1つの目的の方は途中で切り上げて、雨男は撤退を始める。
向かうは、【花鳥風月】の守るゲート。


「逃がさない! "星屑マシンガン"!」

「邪魔だ」


雨男が腕を振るうと、まるでそこで水面でも打ったかのように水しぶきが舞う。それらは月からの攻撃を全て防ぎ、むしろそのまま月へと襲いかかった。


「ぐっ!!」


直撃はマズいと直感で感じ、月は自らを守る"星雲ベール"の出力を上げてガードする。それでも、水滴1粒1粒がまるで鉛玉のような重さをしていたため、苦痛の声が洩れた。


「お前らの抵抗に免じて、今回はこれくらいにしといてやるって言ってるんだ。これ以上向かってくるなら本当に殺すぜ?」


殺気を隠すこと
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