暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第120話『雨男』
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ば、俺を倒せただろと言わんばかりだ。

確かに、当てることはできた。けどそうしなかったのは……彼の言う通りなのかもしれない。牽制のために外したというのは建前で、"鎌鼬"を生身の人間に撃つことにビビっただけなのだ。


「人を殺すってのは──こうやるんだよ!」


刹那、雨男が姿を消したかと思うと、晴登のすぐ目の前に現れた。そしてそのまま広げた手が晴登の顔に向かって伸ばされ──


「て、"天翔波"っ!」

「ちっ! 鬱陶しい風だな」


間一髪のところで雨男を吹き飛ばすことに成功し、何とか一命を取り留める。危うく顔に穴が空くところだった。


「はぁ……はぁ……」

「もう息切れしてるのか? それじゃ俺には到底及ばないぞ」

「そうだ三浦! お前の出る幕じゃねぇ! 大人しく引き下がれ!」


焦りと疲れから息が上がる晴登。そんな晴登に忠告する雨男と、撤退を指示する終夜。
振り向いて見ると、敵の攻撃を退けながら、終夜がこちらに向かって叫んでいるのが見えた。

彼は何も間違っていない。至って冷静な判断だ。間違っているのは、勝ち筋の見えない相手に立ち向かう晴登の方なのだ。それでも、挑まなければならない壁というものは存在する。それが今だ。


「うん? 三浦? その風の魔術……あぁ、そういうことか。くく、まさかお前が……」


終夜の声を聞いて、なおさら覚悟を固めた。
その一方で、雨男は一人で何かに納得した様子を見せる。言い方からして、晴登についてのようだが……。


「よし決めた。お前は殺さない」

「……は?」

「ただし条件が1つ。俺と手合わせしろ」

「え、と……?」


予想外の提案がなされ、思わず素っ頓狂な声が洩れる。殺されないというのは喜ぶべき話なのだが、それならばなぜ戦う必要があるのだろうか。


「ルールはどちらかが降参するか戦闘不能になるまで。殺しは無しだ。それならいいだろ?」

「何、言って……」

「お前が勝てば、俺らは手を引く。悪くない話だと思わないか?」


淡々とルールを決める雨男。話に全然ついていけない。
さっきまでの殺意はどこへやら、ゲームをしようと言わんばかりの態度である。


「三浦聞くな! そいつが約束を守る保証はない!」

「うるさい」

「うおっ!?」


止めようと終夜が声を上げると、黙らせようと雨男がそっちに水弾を飛ばす。
間一髪で終夜は避けたが、その後ろにいた重装兵に弾が直撃し、なんとその装甲に穴を空けたのだった。
恐るべき威力。晴登は今からそんな相手に挑まなければならないのか。


「俺が勝てば、俺らの計画は継続。あの杖を手に入れて、お前以外の魔術師全員を殺す。だがどち
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ