怪鳥
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でに、同じく紫の物体が、ウィザードの頭上を走ったからだ。
巨体を誇る紫の物体。四肢のみが人間の共通点であり、そのまま二体の怪鳥の頭を掴み、そのまま地面に叩きつける。
紫の巨体……紫の怪物と言った方がいいだろう。
がっちりとした肉体に、無数の細かい発光器官やディティールが作り込まれている。さらに、その頭部には紫のゴーグルが付けられており、無機質さを感じさせる。
二体の怪鳥はそれぞれグエッと悲鳴を上げるが、紫の怪物はそのまま容赦なく動きを続ける。
両腕に拳を固め、その脳天へ叩きつける。
だが、即座に復活した二体の怪鳥は、それぞれ上空へ退避した。
「逃がすか!」
紫の怪物は、そのまま怪鳥の内一体の足を掴み、再び地面に叩きつける。
背骨を強烈に叩きつけられた怪鳥は痙攣。その時、紫の怪物は怪鳥をマジマジと見下ろすが、首を振った。
「違う……お前じゃない!」
紫の怪物は吐き捨てて、怪鳥の上に馬乗りになる。
さらに、その全身の発光部位が紫の光を灯していく。
そして。
ほぼゼロ距離で、発光部位より無数の光弾が発射された。至近距離からの無数の攻撃。
華奢な体形の怪鳥がそれに耐えることなどできず、悲鳴と共に爆発していった。
「すご……」
ウィザードが、茫然と呟いた。
だが、怪鳥はまだ最後の一体がいる。爆発し、飛び散った仲間の肉片を咥えた怪鳥。その目的は、仇討ちか、それとも捕食か。
最後の怪鳥は、紫の怪物へ襲い掛かろうと軌道を描く。
だが。
完全に夜が明けた。
東の地平線より昇る太陽が、ほんのわずかに残されていた闇の世界を掻き消していく。
すると、怪鳥はその動きを止めた。バサバサと慌てながら、上昇、どこかへ飛び去って行く。
「……いなくなった……」
ウィザードは、第一の脅威が去ったことを確認し、第二の脅威である紫の怪物を見つめる。
「君は……何者だ?」
あの怪鳥に、「お前は違う」と言っていた。
つまり、目的は別のなにか。
そして、会話が___意思の疎通が可能なのかもしれないということ。
ウィザードがその疑問を抱くのと同時に、紫の怪物の体が、白い気体に覆われていく。
そして、気体が消滅すると同時に、紫の怪物の姿が大きく変化していた。
紫の巨体を持つ怪物から。
先ほど、響とともに保護した少年へ。
「う、嘘……ッ!?」
響も言葉を失う。
少年はハルトたちに目をくれることもなく、その場で倒れた。
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