暁 〜小説投稿サイト〜
イベリス
第五十三話 雨の東京その十一

[8]前話 [2]次話
「色々言われていますが」
「その全部がですか」
「江戸を護るです」
 そうしたというのだ。
「結界になっています」
「そうなんですね」
「この街は災害が多いですね」
「物凄く」
 咲もこう返した。
「何かと」
「地震、台風、火事と」
「富士山も噴火しましたし」 
 最後にあったのは江戸時代である。
「何かとです」
「そうした街なので」
「だからですか」
「結界を張って」
 そうしてというのだ。
「人も街もです」
「護っていますか」
「はい」
 そうだというのだ。
「そうしているのです」
「そうなんですね」
「さもないと、です」
「もっと酷いことになっていますか」
「左様です」
 こうも言うのだった。
「まことに」
「東京についてはよく言われていますね」
「以前小山さんにはこうした説もあると言った覚えがありますが」
「本当ですか」
「少なくとも私はそう考えています」
「そうなんですか」
「何しろ非常に災害が多い場所です」
 この東京はというのだ。
「歴史にある通りに」
「ええ、恐ろしい位に」
「それで幾度も壊滅しています」
 火事や地震でだ、江戸時代の歴史を見てみるとこの街は何度も大火事や大地震に襲われていることがわかる。
「しかしその都度立ち直っていますね」
「復興していますね」
 咲もそれはと答えた。
「関東大震災からも」
「あの地震が一番有名ですよね」
「そうですね、東京においては」
「それまでも地震はありましたけれど」
「あの震災は多くの犠牲者が出て記録も多く残っているので」
 その為にというのだ。
「よく言われます、ですが」
「あの震災からも復興していますね」
「空襲からもそうでした」
「そう思うと凄い街ですね」
「その東京を支えているのがです」
「お寺や神社ですか」
「結界となっている、ですから」
 そうしたことを見てというのだ。
「私は信じています」
「神様も仏様も」
「そうです」
「そうですか。私も前から結界は聞いていましたが」 
 咲は速水に目を瞠って述べた。
「前から信じていましたけれど」
「今の私のお話を聞いてですか」
「尚更信じる様になりました」
「そうですか」
「はい、東京のお寺や神社も時間があれば」
「巡られますか」
「そうしてみます」 
 咲はこう言って実際にだった。
 東京の神社仏閣を巡ることもはじめた、その中でまた新たなことがあったのだった。


第五十三話   完


                 2022・3・1
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ