第二十三話 安売りだったのでその七
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「あの人の作品ね」
「代表作の一つよ」
「そうよね」
「女子高生が読むには抵抗があるかも知れないけれど」
「おばちゃんでも?」
「おばちゃんでもレベルが低いならね」
娘に今のやり取りから話した。
「お勧め出来ないわ」
「そうした作家さんよね」
「かなり際どい作品もあるから」
谷崎にはそうした作品もある、というよりかは多い。だからこそ日本の耽美派の巨匠とされているのだ。
「だからね」
「読むには早い?」
「作品は選んで読んでね」
「そうしないと駄目なのね」
「谷崎はね、けれど細雪はね」
この作品はというと。
「長いけれどね」
「私も読めるのね」
「ええ、四姉妹の作品よ」
「若草物語みたいな」
「上流階級のお話でも」
それでもというのだ。
「飾ってないわよ」
「そうなのね」
「谷崎の作品の女の人自体がね」
「飾ってないの」
「春琴抄のヒロインはきついけれど」
その名もそのまま春琴である、大阪に実在した人だという。
「基本ね」
「飾らないの」
「だから今だとその姉妹も」
細雪の四姉妹もというのだ。
「普通にね」
「お外でたこ焼き食べてるのね」
「きつねうどんもね」
この食べものもというのだ。
「食べているかも知れないわね」
「そうなのね」
「お好み焼きもね」
この食べものもというのだ。
「食べてるでしょうね」
「そうなのね」
「それが大阪なのよ」
「大阪のおばちゃんね」
「飾ってるとね」
暗に京都のそうした風を批判して話した。
「どうしてもね」
「問題なのね」
「その分損するわよ、たこ焼きとかも熱々を食べられないわよ」
「それが一番美味しいのに?」
「お外で食べるなんてね」
「屋台のを買ってすぐとか」
「そこを気取ってお外で食べないとか言って」
そうしてというのだ。
「お家に帰ってこっそりね」
「食べるのね」
「そうするけれど」
それでもというのだ。
「もう冷えてるでしょ」
「その時はね」
「それじゃあその分美味しくないでしょ」
「損してるわね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「だからね」
「飾らないとなの」
「それが少しかも知れないけれど」
それ位の違いかも知れないがというのだ。
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