第21話 軍師の母
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発と巷で呼ばれるだけの才のある子です・・・。我が子の中で、最も優秀なことは事実です。お恥ずかしい話ですが、あの子は人見知りをする子でして、いつも部屋に引きこもっているのです」
司馬防は何とも言えない表情で言いました。
いつも部屋に引きこもっている?
司馬懿が引きこもりをしている?
史実では、曹操の誘いを断るために、病気を理由に出仕を拒否していた話は知っています。
それが引きこもりなんて、イメージが湧きません。
「引きこもっておられることはわかりました。その上で、司馬懿殿にお会いできませんか?身勝手なことと承知でお願いいたします。司馬懿殿に直接断られるのなら納得いきますが、会えないだけで諦めることなどできません」
私は必死に司馬防に掛け合いました。
この程度のことで引く訳にはいきません。
私の将来が掛かっているのです。
どうしても会ってみせます。
「・・・わかりました。懿に伝えるだけは伝えましょう。少し部屋でお待ちいただけますか。」
「あ、ありがとうございます!」
司馬防が司馬懿に取り次いでくれることになりました。
「揚羽、聞こえますか?あなたに客人が来ています」
母上が私に客人が来たと言っている。
無視。
「客人の名は劉ヨウ殿といいます。」
劉ヨウ?
誰それ。
「通儒で有名な劉本どのお孫様です。あなたにどうしても会いたいと屋敷に来られています」
劉本?
確か・・・、ああ。
・・・皇族の劉本ね。
その孫がここ河内まで来て、私に何の様な訳?
面倒臭いから無視。
「揚羽っ!引きこもっていないで出てきなさい!劉ヨウ殿はお前に自分の右腕として仕官して欲しいとわざわざ来られているのですよ。あなたが引きこもっている話をしましたが、直接会わせて欲しいと仰っています。ここまで礼儀を尽くす人物を無碍に帰す気ですか!」
母上、五月蝿いわね!
アタシが頼んじゃいないのよ!
勝手に来て、会いたいと言っているだけじゃない。
アタシに関係ないわよ。
「揚羽っ!」
はあ・・・わかったわよ、戸口で怒鳴らないでよ。
「母上、今、準備しますからしばらくお待たせしてください」
「・・・。わかりました。直ぐに準備するのですよ」
私は劉ヨウという人物に会うことにしました。
劉本というとあの『山陽郡の麒麟児』よね。
まあ、どうでもいい。
直ぐ、終わらして部屋に戻るわ。
アタシは面倒くさがりながら、身支度を整えた。
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