過去編 ウルトラゼファーファイト
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、念力によるスラッガーの精密操作。その両立が為せる妙技を目の当たりにしたザインは、驚嘆の声を上げる。
『ザイン、一気に決めるぞッ! ガボラを倒した今なら……もう遠慮はナシだッ!』
『……分かりましたッ! 全力で行きますッ!』
だが当のゼファーは己の技術を奢ることなく、ガボラの死体を背にするようにネロンガの方へと向き直っていた。そんな彼と頷き合うザインは、敬愛する兄弟子と共に決着を付けるべく、二つのスペシウムエネルギーの球体を出現させる。
ゼファーも、両腕を胸の前で交差してエネルギーを集中させると。右腕を天に、左腕を水平に伸ばし――やがてL字に組んだ両腕を、ネロンガに向けていた。
『ザイナ……スフィアァッ!』
『セフィニウム……光線ッ!』
スペシウムエネルギーを纏う球体の一撃。L字の腕から飛び出す眩い光線。その両方が同時に閃き、ネロンガへと炸裂する。
天を衝くような爆炎が立ち昇り、この戦いに終幕が訪れたのはその直後であった。ウルトラ戦士達の勝利に、弘原海と琴乃が喜びを噛み締めてガッツポーズを決める中、ザインとゼファーは固く握手を交わしている。
『……成長したな、ザイン。これからもしっかり頼むぜ? この星の未来は今、お前に懸かってるんだからよ』
『もちろん、そのつもりですよ。……応えて見せます、必ず』
やがて、ガボラの死体を持ち上げたゼファーが勢いよく地を蹴り、そのまま空の彼方へと飛び去って行く。ザインもそんな彼に続き、発電所の職員達や弘原海達が手を振る中、両手を広げて飛び立って行くのだった。
「やれやれ、今回もウルトラマンザインには助けられちまったな。それにしても、あの紅いウルトラマンは一体……んっ!?」
「弘原海隊長、あそこ!」
そして、2人のウルトラマンが人々の前から消え去った後。胸を撫で下ろしていた弘原海と琴乃の視界に――こちらに向かって駆けて来る青年の笑顔が映り込んで来た。
遠くから手を振り、「おーい!」と叫んで走って来る江渡匡彦。彼の姿を目の当たりにした弘原海と琴乃は目を見合わせ、安堵の笑みを浮かべる。
「江渡隊員、無事だったか! 良かった、本当にっ……!」
「バッカ野郎ォ、心配掛けやがってッ! あの紅いウルトラマンが来てくれなかったら、今頃どうなってたと思ってやがんだッ!」
「あははっ! 自分は不死身ですよ、隊長っ!」
そんな江渡匡彦こそがウルトラマンゼファーであることなど、露も知らない弘原海と琴乃は、歓喜の笑みを浮かべて部下の肩を叩いていた。一方、国彦の身体を借りているゼファーも、弟弟子に頼もしい仲間達が居るのだと知り、優しげな微笑を浮かべている。
いずれ彼は匡彦の身体を離れ、依代となっていた男の記憶を消し去ると。
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