過去編 ウルトラゼファーファイト
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もガボラを巻き添えにしてしまう。
文字通りの爆弾を抱えているガボラが相手では、本来のペースで戦うことは非常に難しい。その窮地に立たされているザインはまさに、絶体絶命となっていたのだ。
(やはり……俺がなんとかするしかないッ! 済みませんクライム教官、俺にはあいつを放っておくことなんて出来ないッ!)
そんなザインのピンチを目の当たりにした匡彦は、意を決して火の海の中に飛び込むと――戦闘服に付いた火を消すために激しく地を転がり、素早く立ち上がる。火の中からスティック状の「装置」を取り戻した彼の眼は、不退転の決意に燃え上がっていた。
「弟弟子の窮地に……熱いとか苦しいとか、言ってられるかよッ!」
――そう。彼の肉体には数日前から、ウルトラ戦士が憑依していたのである。
かつては共にウルトラマンクライムの元で修行を積んでいた、ザインの「兄弟子」。それが匡彦と一心同体になっていた、ウルトラ戦士の正体だったのだ。彼が火の海に飛び込んでまで取り戻したスティック状の物体は、本来の力を呼び覚ますための「起動点火装置」だったのである。
「……ッ!」
彼は意を決して、スティック状の変身アイテム――「ゼファードスティック」のスイッチを押すと。その先端部を点灯させ、空高く突き上げる。
そして、次の瞬間。眩い閃光がこの一帯に迸ると、その中から現れた巨大な真紅の拳が、匡彦の全身を頭上から包み込んでいく。やがて発電所を飲み込む火の海を突き破るように、光の巨人が「ぐんぐん」と拳を突き上げ、この戦場に顕現するのだった。
「あれは……!」
「新しい、ウルトラマン……!? 一体あそこで何が起きてるんだ、江渡は無事なのかッ!?」
その光景に瞠目する弘原海と琴乃は、思わず射撃の手を止めてしまう。
部下が走り去った先に現れた、レッド族のウルトラ戦士。その勇姿を目にした彼らは、匡彦の安否を気に掛けていた。果たして彼は無事なのだろうか……と。
一方、その匡彦が変身した真紅の巨人――「ウルトラマンゼファー」は、ザインの背後で深く息を吐き出し、戦闘態勢を整えている。
頭頂部に備わっている長めのスラッガーや、ツリ目がちで横長な六角形の黄色い眼は非常に攻撃的なデザインであり、胸部に伝う楔模様のプロテクターも、彼の雄々しさに彩りを添えている。
『ジョワァアァッ!』
彼はその紅い両手から放つ「ウルトラ水流」で、発電所を飲み込む炎の海を一瞬で鎮火すると――九死に一生を得た職員達が顔を上げている間に、地を蹴って高く飛び上がっていた。
やがてガボラの顔面に鋭い飛び蹴りを叩き込んだ彼は、怪獣が怯んでいる隙に弟弟子の傍らに着地する。予期せぬ兄弟子の参戦に、ザインは思わず仰け反っていた。
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