第五十三話 雨の東京その三
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「問題じゃなかったのよ」
「そのこと自体は」
「当時愛人さんいない立場のある人もいたけれど」
東条英機がそうであった、彼は愛妻家でありそうした話は極端に嫌い他のこともそうだったが
女性にも清潔であったのだ。
「普通だったのよ」
「愛人さんがいたことは」
「だからね」
それでというのだ。
「そこはそうした時代ってことで」
「それでなのね」
「太宰がもてたことはね」
クラスメイトは咲に話した。
「私も間違いないと思うわ」
「そうなのね」
「そう、ただ太宰心中して死んだけれど」
「それずっとお話してるわね」
「そうでなくても長生き出来なかったでしょうね」
こう言うのだった。
「あの人は」
「どうしてなの?」
「結核だったから」
その為にというのだ。
「それもかなり進行していたから」
「ああ、当時は不治の病だったわね」
「やっとペニシリンが普及してきたけれど」
生み出されてだ。
「それでもね」
「もうかなり進行していて」
「そのせいでね」
「長くなかったのね」
「人間失格書いてた頃はかなり血を吐いていたらしいわ」
そこまで症状が進行していたのだ、尚彼が生涯敬愛していた芥川も結核であったという説がある。
「それでかなり衰弱していたそうだから」
「長くなかったのね」
「そうみたいよ」
「結核ね」
「昔は多かったでしょ」
「ええ、それは聞いてるわ」
咲にしてもだ、その聞いた話をクラスメイトに話した。
「沖田総司も高杉晋作もね」
「あの人達もだったでしょ」
「それで若くしてだったわね」
「太宰もだったのよ」
「だからどのみち長生き出来なかったのね」
「そうだったと思うわ」
「そう思うと残念ね、心中しなかったら」
咲は心から思った。
「太宰に生きるつもりがあったら」
「もっと生きられたわね」
「そうだったからね、ただ」
咲はその知っていることをさらに話した、今度は太宰についてのことだ。
「太宰って何度も自殺しようとしてるわね」
「そのうち二回が心中よ」
「自殺マニアだったのね」
「躁鬱の気があったみたいだから」
「それで鬱の時はなのね」
「自殺したがって」
それでというのだ。
「行動に移していたのよ」
「そうだったのね」
「けれど普段は明るかったらしいから」
「そうなの?」
これにはだった、咲も驚き他のクラスメイト達もだった。
驚きの顔になった、そうして口々に言った。
「太宰が明るいって」
「嘘でしょ」
「人間失格とか斜陽とか書いて」
「もう暗いっていうとね」
「太宰って感じじゃない」
「それがね」
そのクラスメイトは咲達に話した。
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