第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その5
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候の連絡を受けたホワイトハウス
煌々と照明が輝き、不夜城の如く官衙に聳えている
白堊の殿堂の中を、忙しなく給仕達が駆け巡る
その一角にある大統領執務室
将にその中では、ソ連への先制攻撃への準備を巡って白熱した議論がなされていた
「閣下、白ロシアに先制核弾頭攻撃を実施すべきです」
国防長官が、立ち上がって提案した
「この状況下で、些か拙速ではないかね……」
大統領は、国防長官を戒める発言をする
「核攻撃のついでにハイヴごと吹き飛ばしましょう」
太巻きの葉巻を右手に持ち、足を組んで椅子に座る男
周囲を伺う様に、顔を動かす
「アサバスカの時とは、訳が違うのだよ。君」
『アサバスカ事件』
1974年7月6日、カナダ・サスカチュワン州アサバスカ湖周辺に、月面より飛来する
飛来物は、後に『降着ユニット』と呼ばれるものであった
前年のカシュガルの惨劇を防ぐべく、戦術核による攻撃を実施
この際に、BETAの落着ユニットの残骸を得て、新元素の研究に当てた
アサバスカ湖周辺は、米加両政府の秘密協定により、放射能汚染地域として指定
事件直後、居留民の退去を実施した
既にBETA飛来以前より、ウラン鉱山の有ったアサバスカ湖
同地域での核物質採掘に因る放射能汚染は、世人に広く周知されていた
近隣住民にとっては、その判断は受け入れやすかった
「ソ連の核攻撃に、黙って指を銜えて見て居れと言うのですか!」
CIA長官が、すっと立ち上がった
「ゼオライマーに頼みましょう……」
副大統領は、見かねて注意する
「正気かね、たかが一台の戦術機に国運を掛けるだとは……。
寝言も、休み休み言い給え」
見かねた国務長官が口を挟む
「彼の提案に乗りましょう、副大統領……」
周囲を見回しながら、続ける
「そうすれば、我が国への核攻撃は防げるかもしれません」
男の言葉を聞いた副大統領は、暫しの間、無言になる
ずり落ちていた黒縁の眼鏡を、右手で掴み持ち上げる
「それは、甘い夢の見過ぎではないのかね」
男は、不敵の笑みを浮かべる
「いや、この際、全責任をゼオライマーのパイロットと日本政府に負わせるのです……」
「友好国の一つを見捨てるのかね!」
「対ソ静謐等と称して、積極姿勢に出ない国を信用出来ますか……。
私から言わせて貰えば、貴殿は些か、ゼオライマーに入れ込み過ぎている」
興奮する閣僚たちを宥めようと、副大統領は立ち上がる
勢いよく机を両掌で叩く
その行為に一同は、恐悚する
「国務長官としての言かね……」
周囲を睥睨した後、CIA長官の方に体を向ける
顔には軽侮の念が浮かぶ
「CIA
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