見滝原南の医者
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表すかのように、徐々に腹は巨大化していく。
やがて、その腹を突き破って出てくるのは、翼。牙。
言ってしまえば、怪鳥と呼ぶのが相応しいだろう。
矢じりの形をした頭部と、雄々しく広がる翼。赤茶色の肉体は、空気に触れた瞬間、瞬時に巨大化していく。もともと雛程度の大きさだったのが、人間にも近しい大きさに。
怪鳥は翼竜のように、翼で地面を這う。
全身を濡らす液体が乾ききったころには、すでに怪鳥はトレギアへその赤い眼差しを向けていた。トレギアの姿を視界に入れるや否や、怪鳥は即座に攻撃に転じてきた。
「おおっ……危ない危ない」
トレギアを食らいつこうと、怪鳥が攻撃を繰り返してくる。だが、トレギアは右手で怪鳥の矢じりのような頭部を掴んだ。
「マスターにはムーンキャンサーの回収を命じられたが……こっちの方が面白そうだ」
トレギアは腕を振り、怪鳥を薙ぎ倒す。即座に両腕に赤い雷を迸らせ、怪鳥へ放った。
怪獣を暴走させる能力を持つ光線。
それにより、怪鳥の赤い瞳がさらに充血する。
やがて、ギャオ、ギャオ、と。
夜の見滝原南に、捕食者の唸り声が響き渡った。
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