第65話 提督、万歳!
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練されていない部分。すなわち艦隊機動能力において不足が生じている。
アップルトン准将の第三四九独立機動部隊は、数において劣る。故に第四四高速機動集団は一気に第三八九独立機動集団をぶちのめしてからエル=ファシルに急行するか、ぶちのめすことなく一気にエル=ファシルに向かうかの選択をする必要がある。本来『高速機動集団』としての演習を十分に行い、その名の通りの高速機動能力を獲得していれば、俺達の二四〇隻が惑星エル=ファシルに突入する寸前に防御陣を形成することができ、その突入を阻止することができる計算だ。
だが現実的に戦艦トレンデルベルクのレーダーが感知した位置から、惑星エル=ファシルまでは二四時間以上かかる想定。アップルトン准将も後尾について牽制追撃を行うからそれよりさらに遅れる。クレート=モリエート准将の第三五一独立機動部隊と、ルーシャン=ダウンズ准将の第四〇九広域巡察部隊は、それぞれ五五〇隻程度の戦力だ。そのうちの一つが突然現れた三〇〇〇隻の帝国艦隊の反応に対応せざるを得ない。するとどちらかが惑星エル=ファシルの防備を任される。
つまり一対二で不利ではあるが、ガチガチに四〇〇〇隻近くで惑星エル=ファシルを固めている状況よりは、はるかに優位な態勢で『救出作戦』は実施される。降下作戦は同じく鹵獲戦艦グランボウに移乗したフィンク中佐が指揮を執る。その時間を稼ぐために、無人艦隊を率いて俺は戦うことになる。
「前方の艦隊は第三五一独立機動部隊と判明」
現戦艦トレンデルベルクの艦長を務める、元巡航艦ボアール九三号のサンテソン少佐が、副長席から声を上げる。彼は本来、フィンク中佐の指揮下で降下作戦に従事するはずが『ホワイトスキンを被ってまで仕事するのは嫌だ』と駄々をこねた為、仕事を副長に委ねてトレンデルベルクに押しかけてきたのだった。フィンク中佐に命令を徹底させようと一度話したが、「恐らく彼は『閣下』のお役に立ちます。私からも推挙いたします」と無下に断られた。
この人もエル=ファシルからの逃亡者のはずなのだが、精神構造がタフなのか、四五歳独身・天涯孤独という無敵の強みか、頭の螺子が飛んでいるのか、イマイチよくわからない。
「『提督』、次のご指示を」
「モリエート准将から『挑戦信号』は届いてますか?」
「届いてますよ。『孺子、ぶちのめしてやる』って付箋付きです」
口調も言動も独特だが、恐らくはそう言うことで自分の精神を維持しているのかもしれない。ともかくモリエート准将が、帝国艦隊と『まやかしの戦闘』をすることは確認できた。後は派手に、三〇隻が浮き上がってくるまで戦ってやるのみだ。降下して既に三時間。フィンク中佐からも帝国軍地上部隊の収容は順調との連絡が来ている。
「再度確認する。指揮下全艦、全攻撃モードをイエロー(対
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