バイクが壊れた
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「ありがとう。それじゃあ、エンジンの中枢部にあるアメジストの魔法石に潤滑油を通した後エメラルド鉱石の隣にあるピストンの錆をふき取ってトルマリン魔法石に魔力を注いでガーネットのシリンダーをチェックしてサードオニキスとシリマナイトのクランクシャフトの動きを確認してアズライトのコンロッドがちゃんと物理的に回転するかを見てもらってネフライトの吸排気バルブが魔力を放出できてるか確かめてもらっていい?」
「待って待って待ってッ!」
ハルトの注文に、響は大慌てでストップをかける。
「横文字ばっかりでわかんないよッ! いつからハルトさんは外国人になったのッ!?」
「まあまあ」
ハルトはそう言いながら、今自分が言った作業工程を一通りこなしていく。
だが、それでもマシンウィンガーは息を吹き返さない。その上、周囲もますます暗くなっていく。
いよいよ時間が無くなっていくと困り果ててきた時。
「故障ですか?」
背後から尋ねてきたのは、壮年の男性。
黒い衣服に身を包んだ人物。
夜であってもサングラスを付けた男性は、手慣れた動きでサングラスを外した。あまりにも似合いすぎて、ハルトは一瞬彼が役者か何かかとさえ思ってしまった。
「少し、見せていただいても?」
「は、はあ……」
ハルトは静かに頷いた。
彼は屈み、マシンウィンガーの機関部を調べ始めた。
「なるほど。特殊なバイクですね。改造のようだ」
「まあ、いろいろありまして……まあ、もらい物なんですけど」
「ほう……」
機関部のパーツに埋まる魔法石。
一般人にはあまり見られたくないものだが、彼はそれには気に留めることもなく、外れているパーツを目ざとく発見した。
微笑した男性は引っ張り出したチューブを、彼の私物であるライターの炎であぶり、再び接続させる。
「すご……」
「何をどうやってるのかさっぱりだよ」
ハルトの隣で、響が頭をフラフラと揺らしている。
「これで大丈夫だと思いますよ」
「はい」
男性に言われ、ハルトはアクセルを入れる。
すると、さっきまで何もなかったアクセルが、エンジンの音を響かせた。
「本当だ! ありがとうございます!」
ハルトのお礼に、男性は笑顔で応える。
「この辺りは危険です。よければ、安全な場所までご案内しますよ」
「ありがとうございます!」
ハルトは背後で這い寄って来る人々を振り返りながら言った。
男性は頷き、ハルトと響を導いていく。
そんな彼を見送りながら、響は手を叩いた。
「凄い人ッ! この場所では珍しく優しい人だねッ!」
「君は何の役にも立たなかったけどね。それより、速く行くよ」
「はわわッ!」
置いて行かれそうになっ
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