バイクが壊れた
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。浮浪者たちからは見えない路地に隠れてから、一度マシンウィンガーを倒す。
『ライト プリーズ』
暗闇でお馴染み光の魔法で、マシンウィンガーを照らす。さらに、光がある間に、エンジンの蓋を開いた。
「ゲホッゲホッ……」
エンジンから吹き出した黒い煙に、ハルトはむせ込んだ。
顔が黒ずむ不快感を覚えながら、さらに指輪を使う。
『コネクト プリーズ』
発動した魔法陣を、ラビットハウスの自室に繋げる。自室に置いてあるメンテナンス器具ケースを取り出し、その蓋を開いた。
「早くメンテ澄まさないと、探す時間も少ないのに……」
『ライト プリーズ』
再び光の魔法で、マシンウィンガーの調子を確かめる。
だが、時間制限がある僅かな明かりの中でマシンウィンガーを見下ろしても何も分からない。
「困ったな……」
「ハルトさんッ!」
頭を掻いていると、後ろから明るい声がかけられた。
振り向けば、明るい笑顔の少女がハルトへ膝を折っていた。
「やっほーッ! 」
「響ちゃん!? こんなところで何してるの?」
手にしたペンチを、思わず取りこぼした。
立花響。
ハルトと同じく、聖杯戦争の参加者の一人。マスターであるハルトとは異なり、サーヴァントとして参加している。クラスはランサー、そのマスターはハルトと同じく魔法使いだが、近くには見当たらない。
「人助けだよッ!」
響はにっこりと答えた。
「人助けって、こんなところで?」
「えへへッ!」
「しかもこんな時間に?」
「まあねッ!」
響は胸を張って答えた。
すでに夕刻を回り、空から青が完全に抜けきっている。普通の町でさえ、あえて出歩く時間ではないのに、治安が悪いこの場所だと、尚更不安になる。
「何でこんなところで?」
「困ってる人を助けているうちに、気付いたらこっちに来ちゃったんだよッ!」
「そうはならんやろ……」
「ところがどっこいなったんですッ!」
響が満面の笑顔で答えた。彼女はそのままハルトの隣にしゃがみ、一緒にマシンウィンガーのエンジンを見下ろす。
「それで、どうしたのハルトさん?」
「ああ……なんか、バイクが動かなくなっちゃってさ」
ハルトはペンチを拾い上げ、作業に戻る。
各ネジを調整し、中に埋め込まれている魔石を調整する。
「うわあ……何やってるの?」
「魔力の調節だよ。マシンウィンガーって、ウィザードの魔法で動いてるから」
「へ、へえ……」
目を白黒させながら頭から煙が昇っている。
だが、ハルトは何度も魔力を調整するが、マシンウィンガーは一向に直らない。油を刺しても、出力を動かしても何も起こらない。
「わ、わたしは手伝おうか?」
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