バイクが壊れた
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に男たちの意識を刈り取れる箇所を蹴り、全員が地に伏せた。
「……ふう。前回紗夜さんが来た時こんな奴らに遭遇しなくてよかった……」
ハルトは気絶した彼らを見下ろしながら、改めてマシンウィンガーに跨る。
前回蒼井晶と遭遇したスーパーがもぬけの殻だった以上、
「今日は止めた方が良かったかな……?」
そう言っていると、やがてハルトはやがてブレーキを踏んだ。
「今度は何だ?」
廃墟の背後に感じる気配。
それは、人。人。人。
それぞれがローブを纏いながら、ゾンビのような呻き声を上げていた。
「な、何?」
「ここは、わたくしたちの土地」
ローブを纏った人々の内一人が、語りかけるような口調で発言する。
「ここを通りたいのでしたら、通行料を払ってもらいましょう」
「通行料? そんなの、何で?」
「ええ。そうですね……そのバイクを頂きましょうか?」
彼の一言で、ローブの人々は徐々にハルトとの距離を詰めていく。
ローブとは表現しているものの、その実は衣服などではない。何度も使い続けたのだろう、汚れや色が重なっている。
「ダメなら服でも金でもいいですよ?」
「どうせなら両方頂きましょう」
丁寧な言葉遣いの裏に、必死さが顕れる。
やがて彼らは、やがてじりじりとハルトとマシンウィンガーに触れようとする。
「ちょ、ちょっと!」
「バイク……バイク!」
「よこせええええ……」
「コイツがあれば、金だ……金になるうううううう!」
彼らは亡者のように、ハルトに群がって来る。
ハルトはバイクの上から彼らを蹴り飛ばし、アクセルを再び噴かせる。
金の亡者たちから逃げ、ハルトは大きく息を吐いた。
バイクをウィリーし、瓦礫を台に飛び上がった。
春の冷たい空気を貫き、ハルトは一気に息を吸い込む。
「っ!」
大きな音を立てながら、マシンウィンガーが着地する。スプリングの勢いに体を揺られながら、ハルトはカーブしながら静止する。
ゾンビのようにジャンプ台の向こうで群がっていく人々を見上げ、ハルトは急いでマシンウィンガーを走らせようとする。
だが。
「……あれ?」
おかしい。
ハルトは、何度もマシンウィンガーのアクセルを入れる。
エンジンを吹かす手応え返って来るが、マシンウィンガーが動く気配がない。
「もしかして……壊れた?」
マシンウィンガーは、市販品ではない。
ハルトの魔力を動力に動く、ウィザード専用のマシン。
おそらく魔法石を使えば修復できるだろうが、夜の、それも浮浪者が元気に狙ってくるこの地にいるのは危険すぎる。
「最悪だ……!」
ハルトは慌ててマシンウィンガーを押して、道を外れる
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