やっぱり不安、宇宙旅行
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たようです」
「うわ。手まで出したのか……」
やはり、八十年も夢を見続けて蓄積されたエネルギーは凄まじいものがあるのだろうか。もちろん悪い方向にだが。
『ふざけるな!』
今度は何だ?
若干うんざりしながら、アシスタントを起動した。
「お呼びでしょうか、お客様」
「今度は何」
「はい。今度は――」
『こっちのスペースに入ってくるな! 無重力だからといって浮くな! シートベルト着けて席にいろ!』
「……というようなトラブルのようですね」
「はぁ……」
もはやため息しか出てこない。
ありがたいことに、日本にも格安宇宙飛行会社が設立されて、今はサラリーマンでも宇宙に行けるようになっている。
僕もやっとのことで宇宙に行けることになり、ウキウキワクワクな気持ちでこのスペースシャトルに乗り込んだのに。興覚めもいいところだ。
『こっちにはみ出してきて写真を撮るな! マナーを守れ!』
また違う怒鳴り声がする……。
『マスクを着けろ!』
『荷物を後ろから席に当てるな!』
『シートを勝手に倒すな!』
……。
僕は立ち上がって、後ろを向いて叫んだ。
『お前ら! うるさいぞ! いい加減にしろ! ちゃんと宇宙旅行しろ!』
その直後、僕は前の席の人から「うるさい!」と怒鳴られた。
−完−
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