暁 〜小説投稿サイト〜
やっぱり不安、宇宙旅行
やっぱり不安、宇宙旅行
[2/2]

[9] 最初
たようです」
「うわ。手まで出したのか……」

 やはり、八十年も夢を見続けて蓄積されたエネルギーは凄まじいものがあるのだろうか。もちろん悪い方向にだが。


『ふざけるな!』

 今度は何だ?
 若干うんざりしながら、アシスタントを起動した。

「お呼びでしょうか、お客様」
「今度は何」
「はい。今度は――」

『こっちのスペースに入ってくるな! 無重力だからといって浮くな! シートベルト着けて席にいろ!』

「……というようなトラブルのようですね」
「はぁ……」

 もはやため息しか出てこない。
 ありがたいことに、日本にも格安宇宙飛行会社が設立されて、今はサラリーマンでも宇宙に行けるようになっている。
 僕もやっとのことで宇宙に行けることになり、ウキウキワクワクな気持ちでこのスペースシャトルに乗り込んだのに。興覚めもいいところだ。


『こっちにはみ出してきて写真を撮るな! マナーを守れ!』

 また違う怒鳴り声がする……。

『マスクを着けろ!』
『荷物を後ろから席に当てるな!』
『シートを勝手に倒すな!』

 ……。

 僕は立ち上がって、後ろを向いて叫んだ。

『お前ら! うるさいぞ! いい加減にしろ! ちゃんと宇宙旅行しろ!』

 その直後、僕は前の席の人から「うるさい!」と怒鳴られた。





 −完−
[9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ