第二十三話 安売りだったのでその六
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「そうでしょ」
「どっちもマヨネーズにおソースたっぷりかけて」
一華も答えた。
「それで青海苔とかつお節もね」
「絶対よね」
「それでお外でも食べるわ」
「それが出来てもよ」
「おばさんなのね」
「東京で外でそう言うの食べる娘いるかしら」
「うち東京から来てる娘もいるけれど」
それでもとだ、一華は答えた。
「クレープは外で食べても」
「お店のね」
「お好み焼きとかはね」
当然たこ焼きもだ。
「どうもね」
「そうでしょ、それが出来るのもね」
「大阪のおばちゃんなのね」
「そうよ」
母は笑顔で答えた。
「いいものでしょ」
「いいわね」
一華も笑って応えた。
「そう言われると」
「そうでしょ」
「まだ十代で言われるのはどうかだけれど」
それでもというのだ。
「大阪人だしね、私も」
「それならでしょ」
「オバタリアンは嫌だけれど」
「また古い言葉知ってるわね」
「聞いたことあるの、ああした碌でもないおばさんは嫌でも」
それでもというのだ。
「おばちゃんはね」
「いいでしょ」
「本当はお姉さんだけれど」
「だから言ってるでしょ、大阪ではね」
「女の子は生まれた時からなのね」
「おばちゃんでね」
そう言われる存在でというのだ。
「生活の知恵を学んでいくのよ」
「それでその生活の知恵のレベルによって」
「レベルが上がっていくのよ」
「そういうことね」
「生活の知恵を学んでね」
そうしてというのだ。
「実行していくの、世間のことよ」
こちらのことだというのだ。
「生活の知恵ってね」
「学校の勉強じゃないわね」
「それとは別のね」
「世間のことね」
「ええ、それでざっくばらんにもなるのよ」
母はこのことも大事だと話した。
「砕けて道でたこ焼きを食べられる」
「そんな風なの」
「お金持ちでも飾らなくてね」
「そこ京都と違うわね」
一華は飾らないと言われてこの地のことを話した、大阪と京都は互いに意識し合っている街同士なのだ。ここに神戸も入る。
「本当に」
「あそこは飾るでしょ」
「お高く止まってるとも言うわね」
「けれど大阪はね」
この街の人間はというと。
「お金持ちでもね」
「飾らないのね」
「そうよ」
実際にというのだ。
「細雪みたいな感じよ」
「谷崎潤一郎よね」
一華は作品の名前ですぐにわかった。
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