第二十三話 安売りだったのでその一
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第二十三話 安売りだったので
この日の夜一華の母は満面の笑みだった、その笑顔で夫と娘にホルモンを大量に出しながらそのうえで話した。
「沢山食べてね」
「あっ、ホルモンか」
「物凄く多いわね」
夫も娘もそのホルモンを見て笑顔で応えた、実は一華の家族は全員ホルモンが好きなのだ。特に牛のものがそうであるがその牛のものだった。
「これはお腹一杯楽しめるわね」
「そうだな」
「それでここにビールがあればね」
「尚いいな」
「ビールもあるわよ」
こう言ってだ、母は。
五〇〇の缶のビールを何本も出してきた、そうしてさらに言ってきた。
「飲んでね」
「ビールもあるのね」
一華はその缶を見て言った。
「そうなのね」
「いやあ、よかったわ」
母は自分の席でその笑顔で述べた。
「今日ビール特価でね、ホルモンも半額だったのよ」
「それでこんなに多いの」
「そう、それでこっちもね」
トマト、スライスされたそれも出して娘に話した。
「特価だったから」
「トマトもなのね」
「うち皆トマトも好きでしょ」
「ホルモンとね」
「それでね」
「全部特価と半額で」
「一気に買ったのよ、よかったわ」
「それが運がよかったわね」
一華は母の言葉にしみじみとした口調で述べた。
「ホルモンもトマトもって」
「そうでしょ、だから今日はね」
「これだけあるのね」
「ホルモンもトマトもね」
見ればトマトもかなりの量である。
「だから食べてね、遠慮なくね」
「いいな、今日はご馳走だな」
父はまずはご飯を食べることにした、そうしながら妻に言った。
「最高だな」
「そうよね」
「今日はいい日だな」
「そうよね、最高に幸せよね」
「全くだな」
「そうね、幸せね」
一華も両親に続いて述べた。
「美味しいものばかりで」
「そうでしょ、だからあんたも食べてね」
「お腹一杯食べていいのね」
「勿論よ、食べられる時はね」
「食べないとね」
「さもないと後であの時もっとあれを食べとけばってね」
「後悔するわね、お菓子とかね」
一華はこちらの食べもののことを思って述べた。
「その時食べないとね」
「後でお母さんかお父さんが食べてってあるでしょ」
「そうだしね」
「だからね」
「食べられる時にってことね」
「食べないとね、流石に今の日本で餓えるってないけれど」
そうしたことは稀だが、というのだ。
「後でね」
「食べておいたらよかったってね」
「後悔するから」
「食べられるうちによね」
「お腹一杯食べないとね」
そうしないと、というのだ。
「駄目だから」
「それでよね」
「お腹一杯食べなさい」
「それじゃあね」
一華も頷いた、
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