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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その十一
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。その沈黙が物語るのは……二人がもうすでにこの世にいない、ということだろう。
――元々、無茶な話だった。ネリネレベルの魔力でさえ、制御できる者などほとんどいない。
「俺やまー坊、それに世界でも極一部の奴だけがどうにか制御できるくらいだ。ましてや無理に強化しまくった魔力を、その程度でしかない俺達が制御なんて出来るわけがねえ……」
どこか自嘲じみた悔恨が滲むその台詞は、神王が初めて見せる、自分への戒め。
「……神ちゃんの言った通りさ。生命体が三体作られたのは……長持ちしないのが、分かっていたからだよ……」
そこからは、以前に柳哉が予想したこととほぼ同じだ。
最初の一人、一号体が作られたのは今から約二十年前。作り方は、強化。魔族の中から一人を選抜、その魔力を特殊な方法を使用して引き上げる。制御の可否など考えず、ただひたすらに強化し、その結果、あっさり暴走。とうに人の手に負えるレベルを超えた魔力は純粋な力の塊と化し、研究が行われていた施設とその周囲もろとも消滅した。
「本来なら、その時点で実験は中止になるべきだったんだけれども……そうするわけにはいかなかった。なぜなら……」
その実験は神界と魔界、双方にとって必要なものだったから。
故に、次の二号体は違った方法で作られた。複製、人界で言うところのクローンだ。強大な魔力を持った魔族の遺伝子を改良し、魔界屈指の魔力とそれを制御できるだけの器と共に元々持っていた素質を育て、限界以上の魔力を制御可能な
術
(
すべ
)
を身に着けさせる。
途中までは順調だったものの、やはり失敗。原因は複製された遺伝子情報の劣化が予想以上に激しかったこと。強力に過ぎた魔力に耐え切れず……死んだ。
「だがな、これはある意味予定調和でもあった」
(だろうな)
そう思った柳哉だが口には出さない。今はそういう状況ではない。
クローン技術は人界においても未完成の技術だ。神界、魔界でもそれは同様。
「だからこそ、三号体を用意しておいた」
「それがプリムラ。その作り方は……生産」
肌が粟立つような感覚を覚える稟。二人が言っていることは即ち、
「プリムラを……作った……?」
それは言葉通りの意味。髪の毛の一本一本から皮膚の一欠片まで、ありとあらゆる技術を総動員し、強大な魔力とそれを制御できるだけの肉体的キャパシティを併せ持った者を、文字通りゼロから作り上げた。
「そんな……人間を作るなんて……」
普通なら無理だ。しかし、
「いくつもの失敗といくつもの偶然、そしていくつもの奇跡。それらがたまたま綺麗に混ざり合い、天文学的数値の確率を拾い上げた結果、生まれた」
以前、柳哉が言っていた“奇跡の具現”というのは誇張でも何でもなく、正に
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