暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その十一
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……悪い」
「冗談だよ。そんな顔するな」
それはさておき。
「で、朝からこれだけの面子を集めた訳を聞かせてもらおうか?」
「ああ」
それだけを言うと、神王と魔王に向けて、いきなり核心をぶつける。
「リコリスっていう女性を知っていますか?」
「……稟殿、それをどこで聞いた?」
「……」
予想通りの反応だ。この分なら間違いなく知っている。確信を持ってさらにたたみかける。
「プリムラが言っていたんです。リコリスお姉ちゃんに会いたかったって。教えてくれませんか? プリムラのお姉さんのことを」
一息ついてさらに続ける。
「そんなに時間があるわけじゃないんです。俺は今、それを聞かなきゃならない」
先程、電話を終えた後に気付いたのだが、玄関の傘立てにプリムラの傘があった。つまり、プリムラは傘を持たずに出かけたことになる。この雨の中をだ。時間がないのもそれが理由だ。それに二人はプリムラが行方不明になっていることに気付いていない。それはすなわち、誰にも相談できなかったということだ。
二人が言葉の裏にこめられた意味を察したのだろう、真剣な表情になっている。見れば柳哉も険しい表情をし、楓も不安そうにしている。
「……あの子はね、感情を出さないんじゃない。出せないんだ……」
長い沈黙の後(とはいってもほんの数十秒ほどだが)、魔王が口を開いた。
「おい、まー坊」
「構わないよ。稟ちゃんには知っておいてもらった方がいい。いや、むしろ知るべきだ。あの子のためにも……」
「そう……かもしれねえな」
「それに、稟ちゃんと同様、家族である楓ちゃんにもね」
その言葉を聞き、柳哉が魔王に対して目配せする。その意味を正確に受け止め、小さく頷いた。すなわち、自分がそれを聞いてもいいのか? という問いだ。
本来なら聞かせるべきではないが、柳哉はその勘働きの良さ、洞察力の良さで真相に辿り着く可能性が高い。それならばいっそのこと自分の口から話してしまおう、ということだ。
とはいえ、すでに柳哉はいくつかの予想を立てており、その内の一つが見事に的中している。そのことを魔王は知る由もないが。
「……プリムラは感情がないわけじゃない。それには俺も気付いてました。元からそうだったわけじゃない。……プリムラが今のようになったのは、リコリスという女性が関係してるんですね?」
教えて下さい、全部。と真っ直ぐに自分達を見てくる稟に、神王と魔王はお互いの顔を見合わせ、小さく頷き、話し始めた。
「以前にも言った通り、人工生命体は全部で三体いた。なら、他の二体は今どうしているのか、そもそもなぜ三体なのか……」
「……他の二人は……」
「……」
無言
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