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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その十
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ちなみに最後の部分はシアには聞こえないよう、小声である。
それだけ言った後、デイジーは別れの挨拶をし、教室へと戻って行った。
* * * * * *
夕飯前、少し買い物に行って来ると楓に伝えて家を出る。その帰り、ふと光陽公園に足を運ぶ稟。その目に、ぽつんとベンチに座る少女の姿が入った。バーベナ学園の制服に薄紫色の髪のツインテールの少女だ。
「プリムラ……?」
徐々に秋の気配が深まり、虫の音だけが響く公園の中に、その声は思いの他よく響いたようだ。
「……りん……?」
その髪を揺らしながらプリムラが顔を上げる。
「こんな時間まで、こんな所で何をやってるんだ?」
しかも一人でだ。稟の口調がややきついものになるのも致し方ないことだろう。しかし、プリムラはしばらく何の反応も見せなかった。ややあってプリムラが口を開く。
「……違う……」
先程は見受けられなかった感情がそこにあった。だがそれははっきりとした失望だった。稟を責めている訳ではない。その言葉が表しているものは……寂しさだ。
「違うって……この場所に何かあるのか?」
「……何もない……だけど、私はまだ……ここにいる……」
この場所そのものに意味はない。しかし、プリムラにとっては“ここにいること”そのものに特別な意味がある。プリムラは稟のことを知っていて、稟に会うために人界まで来た。だが、それだけで終わりではない。現にプリムラは、ここで何かを探している。
その紫色の瞳からは、もう寂しさは感じない。「違う」と言った瞬間の拒絶にも似た色も、今は存在していなかった。
「じゃあ俺も付き合うよ。日も暮れたし、一人じゃ危ない」
帰るそぶりを見せないプリムラの隣に、稟も並んだ。プリムラを一人残して帰るなどという考えは土見稟の中には存在しない。
そう言った稟をゆっくりと見やるプリムラ。しばしの静寂の後に立ち上がる。
「……帰る」
そう呟くと歩き始めた。
「……もう、いいのか?」
公園の出口で紫色の瞳が稟をじっと見つめている。待ってくれているのだということに気付き、足早にその後を追った。
* * * * * *
「……学園とか、家とかで、何かあったのか?」
帰り道の途中で尋ねるが、返ってきたのは、
「……違う……お姉ちゃんに、会いたかった……」
という言葉だった。
「ネリネのことか? それなら学園でも……」
「違う」
稟の言葉を遮るプリムラ。
「……リコリス……リコリスお姉ちゃんに……会いたかった
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