暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その九
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あるけど……でも普通に友達もいるし、別に今のままでもいいんじゃないか?」

「いいえ、良くないです。私が寂しいです」

「ワガママ娘かっ!」

「ダメですか!?」

 実に自己中心的だ。ここまで力強く言われるといっそ気持ちいいほどに。

「何とでも言ってください。私はリシアンサス様が大好きなんですから」

 それ自体は悪いことでも何でもない。しかし、シアは忙しい身だ。……いや忙しいからこそ、時には息抜きのようなものが必要なのではないだろうか?

(いや待て待て。何か流されてないか?)

 そんな稟の内心には気付かず、デイジーは続ける。

「……まあ確かに、いきなり一緒に部活動をしようというのが突飛なことだというのは分かっていますから。故に三顧の礼を尽くしてお迎えしようと思いまして」

 突飛なことだという自覚はあるようだ。

「で、どうするつもりなんだ?」

「……様々な状況を鑑みた結果、一つの結論が導き出されました」

 そこで間を置く。ある程度予想はできているが。

「つ……土見さんからもお願いしていただけないかな、というのは、やはり卑怯な手段でしょうか?」

 神妙な表情で何やら顔を赤らめたまま言うデイジー。稟にそれを頼むためにチャンスを伺っていたのだろう。シアと一緒に部活をやりたい、ということ自体は別に悪いことではない。さてどうしたものか。

(何も考えずに行動しているわけじゃなさそうだし、話だけでも聞いてみようか)

「で、具体的にどうするつもりなんだ?」

「え、ええと……そうですね、一緒に改めてお願いをしていただけませんか?」

 前言撤回。ノープランのようだ。仕方無い、押してもだめなら引いてみろ、という言葉の意味を教えることにしよう。

「そうだな……部活に勧誘するならお試し期間を設ける、いわゆる仮入部って形にするとか、気の向いた時だけ参加してもらうとか、条件をつけた方がいいんじゃないか? いきなり自分の言い分ばかりじゃ、シアも戸惑うだろうし……ってどうした?」

 ぽけっとした顔で自分を見つめるデイジーに気付き、尋ねる。

「なかなかやりますね、土見さん。少し感銘を受けてしまいました」

 機嫌良く笑って稟を見るデイジー。稟にはその視線が若干むず痒く感じた。百八十度、とまではいかないが、稟への評価を改めたようだ。

「意外に切れ者のようですし、あなたも放送部に入って、私の右腕になりませんか?」

「……たまに好きな音楽をながすくらいならいいけどな。部員になるってのは流石に飛躍しすぎだ」

「……私の考えって、やっぱり飛躍してますよね」

 視線を落とし、考え込むデイジー。どうやら心底本気のようだ。真剣に悩む様子に心が動かされ、なんとか
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