第五十二話 夏になる前にその十
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「本当にね」
「今はよくてもなのね」
「悪い人やふんぞり返ってる人はね」
「何時か落ちるのね」
「何もなくなるわ」
そうなるというのだ。
「本当にね」
「だからお金や地位や権力は」
「見ないことよ。暮らしていけるだけだったら」
「いいのね」
「お金とかはね」
「そうなのね」
「総理大臣でも自分のことしか考えないで何かあると周りに怒鳴り散らしてばかりで何の能力もない何も努力もしない人ならね」
こうした総理大臣もいた、かつて学生運動に参加していたそうだがこの時から行いは悪かったらしい。
「問題外でしょ」
「あの北朝鮮の工作員にお金渡してたっていう」
「貰ってたかも知れないわね」
「貰っててもとんでもないけれど」
「渡してるってなると尚更でしょ」
「最悪よね」
「そんな最悪な人と一緒になったら」
幾らそれが総理大臣という立場でもというのだ。
「駄目よ」
「そうよね、あの人色々悪い話あるし」
「最低の人間でしょ」
「もうね」
「あの人を見てもわかることね」
「今も国会議員だけれど」
「そのうち捕まるかも知れないしね」
母はこうも言った。
「幾ら地位や権力があって」
「お金があっても」
「あんな人は駄目で」
「そしてなくなるものね」
「そうよ、本当に泡沫よ」
そういったものはというのだ。
「お父さんも言ったけれどね」
「奢る平家はで」
「栄枯盛衰もあるしね」
「悪いことをしたら報いも受けるし」
「人はお金や権力で選ぶものじゃないのよ」
「結婚相手は」
「もっと言えばお友達もだな」
父はさらに言ってきた。
「そうした相手の人もな」
「そういうので選ばないことね」
「強い人になびいてもな」
「その強さが変わるのね」
「簡単にな、一日どころか一瞬でな」
まさにそうした時間でというのだ。
「変わるからな」
「だからなのね」
「強いものに巻かれろとかじゃなくてな」
「いい人とお付き合いすることね」
「それが大事だ、お金とか何か持っている時だけへらへらしてそれ以外は強くあたるなんてな」
父はそうした輩の話もした。
「階級や立場が上だとへらへらするのとな」
「同じね」
「こんな奴と友達になってもな」
「自分がいい時は寄ってきて」
「悪いとな」
その場合はというのだ。
「簡単にな」
「去るのね」
「それどころか掌を返してだ」
「きつくあたってくるの」
「本当に川上哲治みたいにな」
「前もお話したわね」
「ああ、戦争中のあの人はな」
軍隊にいた時はというのだ。
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