第七十八話 6000年前の怨念
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吐いてきた。
「あぶない!」
「きゃあ!」
「きゃん!」
アニエスはアンリエッタルイズが怪我を負わないように横に倒れて、溶解液を寸での所で避けた。
「お二方とも降りてください」
「アニエスは、どうするのです!?」
「あの瓦礫のを越えてまっすぐ行けば、みんなの所に着きます。私が何とか敵の隙を作りますので、二人は全速力で瓦礫を通り抜けて下さい」
「む、無理よ! 私達にそんな事できないわ!」
「ですが、このまま来た道を戻っても迷うだけです」
「駄目よ!」
出来ないと首を横に振るルイズ。
この時の時間のロスが致命的となり、スライムの身体と瓦礫との間に僅かに空いていた退路が完全に塞がり、通路一杯にスライムの粘液が張り巡らされ退路を絶ってしまった。
(もはやこれまでか……)
万事休すのアニエスは愛用のG3アサルトライフルをスライムに向ける。
(銃が効かないのは分かっている、だがこの二人は何としても逃がさないと!)
その時、アニエスの脳裏に浮かんだのは養父と養母、そして片思いのマクシミリアンだった。
(復讐も果たした私には何の未練も無い。二人が無事なら、きっとあの方も褒めて下さるだろう)
適わぬ恋慕も何もかも、目の前のスライムにぶつけ死中に活を見出す以外にアニエスは方法を見出せなかった。
そして、リュックサック型のカバンの中の発破用に持ってきたトリステイン製ダイナマイトの位置を確かめる。
(行くぞ……!)
最速で飛び込めるように、ググッと全身の筋肉を強張らせた。
「待って! どうしてあなた達は私達を恨んでいるのですか!?」
飛び込もうとした瞬間、アンリエッタがアニエスの盾になるように立ちふさがった。
「下がってください、アンリエッタ様!」
「駄目よ姫様!」
アニエスとルイズはアンリエッタを制したが、アンリエッタは制止を聞こうとしなかった。
『リユウダト?』
『オマエタチガ、アイツトオナジニオイヲシテイルカラダ』
『オモイダサセテヤル。オマエタチノツミヲ!』
スライムの動きが止まり、彼らから6000年前の恨みが語られた。
☆ ☆ ☆
およそ6000年前、トリステイン王国が興る前のこの地には、『古代フリース人』と呼ばれる民族が住んでいた。
もっとも、その名が付いたのは、もっと時代が下ってからの話で、彼らは自分達の事を古代フリース人などと呼称しなかったが、ここは便宜上古代フリース人と呼んでいたという事にする。
古代フリース人は、貧しくてもそれなりに
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