第七十八話 6000年前の怨念
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アンリエッタは、11歳と10歳の子供を担いで走るアニエスに労いの言葉を掛けた。
「アニエス大丈夫?」
「大丈夫です、アンリエッタ様。鍛えてますから」
アニエスは二人を心配させないように微笑む。
「あの、えっと……ごめんなさい」
「どうしたのルイズ?」
一緒に担がれていたルイズが突然謝り出した。
「足手まといでごめんなさい。私達がいなければこんな目に遭わずにすぐに地上へ出る事が出来たでしょうに」
「ルイズ……それは違うわ。元はといえば、私が探検しようなんて言い出したのがいけないのよ」
「姫様は悪くないわ。悪いのは私よ」
「違うわ! 悪いのは私なの!」
「悪いのは私!」
「私よ!」
「私!」
(こんな時にケンカなんてしなくていいのに)
いい加減ウンザリしてきたアニエスは、両成敗という事でこの場を収めようとした。
「それでしたら、アンリエッタ様とルイズ様の二人が悪かったという事で手を打ちませんか?」
「……悪くないわね」
「それで手を打ちましょう」
二人も納得したらしく、担がれながら笑いあった。
(やれやれ……)
アニエスは内心ため息を付いた。
そんな時だった。
進行方向の通路の天井が崩れだしたのは……
……ガラガラガラ。
「きゃあ!」
「危ない!」
完全に退路を絶たれたアニエスに、更に追い討ちをかけるように、崩れた天井からスライムがドロリと落ちてきた。
「チィ、追いつかれた!」
「あああ……」
「何あれ……中に誰か居る」
これまで戦ってきたスライムとは明らかに違う部類のスライムが現れた。
それは、巨大スライムの中に無数の人影が入っているスライムだった。
スライムが近づくにつれ、中に入った人影の正体が判明した。
「ひぃ……ガイコツ!」
「中に人の骨が……!」
そう、巨大スライムの中に5体の人の骨が入っていた。
『……ミツケタゾ』
『アイツノニオイダ!』
『ワレラノ、コキョウヲウバッタ、アイツノニオイダ!』
通路内に響く謎の声。
「な、何を言ってるの? あいつの臭いって何なの? それに故郷を奪われたって……」
「姫様、しっかりして!」
アンリエッタはスライムの中のガイコツの言葉に動揺した。
『故郷を奪われた』
というフレーズがアンリエッタの心に引っかかったのだ。
「ね、ねえ、あなた達は何処から来たの? 故郷を奪われたってどういう事?」
アンリエッタが、詳細をスライムに聞こうとすると、その呼びかけを無視してスライムが自身の一部である溶解液をアニエスたちに向けて
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