第七十八話 6000年前の怨念
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ると、デヴィットも見ていてコクリと首を縦に振った。
「王妹殿下、すぐに逃げ出せるように準備していて下さい」
「わかりました。ルイズ、貴女も降りなさい、私達は邪魔にならないようにしていましょう」
「分かったわアン……じゃなくて姫様」
ルイズもヒューゴから降りて、アンリエッタと共に邪魔にならないように通路の隅に寄った。
「まだか、アニエス!」
デヴィットは怒鳴り気味にアニエスを急かした。
その間にもスライムは距離を縮めてくる。
「最初はこの通路を右に!」
「よし、こっちだな!?」
「王妹殿下ともお早く。アニエスはお二方に着いていてくれ」
アニエスが指示したルートを駆け、地上を目指した。
ジャックとヒューゴが戦闘に戻った事でデヴィットの負担は減ったが孤立している事に変わりは無かった。
……
一時間程かけて、アンリエッタとルイズを守りながら後退を続けたアニエスらの分隊だったが、頼みの援軍も来ず、焦燥感が増すばかりだった。
走り続けたルイズとアンリエッタは、息も絶え絶えに通路にへたり込んだ。
「はあ、はあ……もう駄目走れない」
「私も……」
その光景を見ていたデヴィットに焦りの色が見え出した。
「アニエス。お二方を抱えて走れるか?」
「はい、出来ます」
「よし、ならば特別任務だ。これからアニエスは、アンリエッタ王妹殿下とルイズ様を抱えてここから脱出しろ」
「隊長達はどうされるんですか?」
「お前達が逃げ切るまで殿を勤める」
「危険です! 一緒に逃げましょう!」
「馬鹿言っちゃいかんよ、お二方の命が最優先。それとミラン家のご令嬢の生還も優先事項の一つに入っているからな」
「……! 私もですか!?」
「そうだ、分かったら早く行け。そうでないと我々も逃げ遅れる」
デヴィットは急かすように言うと、アニエスは黙って首を縦に振った。
「了解しました。デヴィット隊長、ヒューゴさん、ジャックさん。お達者で!」
そう言うとアニエスはアンリエッタとルイズを抱えて立ち去った。
「失礼な奴だな。まるで我らが死ぬような口ぶりだ」
「俺はまだ死にたくないっすよ」
「……来るぞ」
通路の向こうからスライムが迫る。
「奴に銃は効かない。それならば『ファイア・ボール』」
デヴィットの杖から発生した火球がスライムに直撃し、ドロドロの身体を焼き焦がした。
「効いてる! 火に弱いぞ!」
暗闇の中に一つの光明を見つけたデヴィットらの士気は高い。
……
一方、アンリエッタとルイズを抱えるアニエスは、アンリエッタにナビゲートを頼み一目散に地上を目指した。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ