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少女は 見えない糸だけをたよりに
4-8

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 次の日の朝、早くにお父さんと一緒に眼が覚めた。

「おっおー なんだ 香波 寄り添ってくれていたんか?」

「えへっ 最初 抱き着いていたんだけどね お酒臭くって 背中向けちゃった ごめんなさい」

「そうか すまんかったな 香波は優しいのう 燿は冷たくってな」

「お姉ちゃんだって、優しいですよ 私 お父さんを小さい頃、亡くしているから・・お父さんのぬくもりとか知らないんで、つい」

「いいんだよ 香波 ワシでも良ければ、もっと甘えてくれて」

 朝ごはんの後、お父さんを誘って、砂浜にでた。バクも付いて来ていた。

「バク 私のお父さんだよ」って言うと、バクはお父さんの足元でクンクンと身体を摺り寄せていった。

「おーおー 懐いてくれたのかな これは 香波」

「うん バクの親愛の表現だよ でもね バクはオスなんだよ お父さん」

「そうか それで 香波と仲良しなんだな」

「そーだよ ボーイフレンド 子犬の時から、一緒に遊んでくれたり、淋しいと慰めてくれたり、助けてもらったこともあるの」

 お昼ごろの船に乗ると言うので、私ひとりで、もう一度、お墓参りに、お父さんは、待っているからと言って居た。

 前に、島を離れる時は、不安で心配かけたけど、今は、本当に幸せなのよ。安心してねとお父さん、お母さん、おばぁちゃんに報告した。

 港に戻ると、お父さんは缶ビールを片手に海を眺めていた。

「ちゃんと お別れしてきたか この島の人達は、みんな親切だわ こんな好い島で育ったから香波も純粋なのかもな 忘れたらあかんぞ この島のこと」

「はい お父さん ありがとうね 一緒に来てくれて」

「ワシのほうこそ 香波と来れて嬉しかったよ いい想い出になった」

 そして、倉敷まで出た時、せっかくだから、こっちの寿司を食って行こうと言われて、私は、ばら寿司を頼んで、お父さんは、さわらとか穴子とか・・

「香波 彼氏の情報 まだないのか?」

「お父さん 彼氏じゃぁないですよー まだね 今頃はさくらんぼの収穫をしていろだろうなって それだけしか・・そして、秋になると北海道」

「そうか まぁな 色々経験するのもいいけど 一度ぐらい 帰ってきたらいいのにな 可愛い娘が待っているのに」 
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