女傑編 ウルトラバークファイト
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「琴乃……!」
6年前の戦いで、壊滅的な被害を被ってしまった街の光景。それを思い起こした琴乃は、血が滲むほどにまで強く拳を握り締めていた。
(我々が、我々がやるしかないのだ……! もうこの地球に、ウルトラマンは居ないのだからッ……!)
彼女がそれほど意気込んでいるのは、「不安」の裏返しでもあるのだ。ウルトラマンカイナですら一度は敗れたあの恐竜戦車を、自分達の力で本当に倒せるのか、と。
過去の経験があるからこそ、その恐怖を拭いきれずにいる。そんな彼女の胸中を慮る女傑達は、心配げに顔を見合わせていた。
――恐竜戦車地球降下事件を皮切りに始まった、6年間にも渡る戦乱の日々において。地球防衛の一翼を担って来たBURK日本支部の戦いは、常に「ウルトラマンとの共闘」だった。
琴乃達も決して、ウルトラマンの力にばかり縋って来たわけではない。それでも戦いの「主役」は常に、彼らの方だった。少なくとも今の世間は、そう認識している。
そして、そのウルトラマンとしての使命を帯びていたのはいつも――成人すらしていなかった、10代の若者。まだ遊びたい盛りの、学生ばかりだったのである。
1年前、ウルトラマンジェムこと荒石磨貴が初めて変身した時。彼はまだ、16歳の高校1年生だった。
2年前、ウルトラマンアークこと八月朔日要がその使命を帯びたのも、彼が16歳になったばかりの時だった。
3年前、ウルトラマンエナジーこと覇道尊がその力を託された時、彼は17歳の高校2年生だった。
4年前、ウルトラマンザインこと椎名雄介が初変身した時。18歳の大学生だった彼は、民間人としての日常を唐突に奪われた。
5年前、ウルトラアキレスこと暁嵐真が戦士として選ばれた時も。彼は19歳を迎えたばかりの、ただの大学生だった。
そして6年前、ウルトラマンカイナこと風祭弓弦が、恐竜戦車との戦いに立ち上がった時も。彼はまだ、16歳の高校1年生だったのである。
誰1人として、本来「矢面」に立って良いような人間ではなかった。ウルトラマンとして選ばれた者だからと言って、恐ろしい怪獣や異星人達に、平気で立ち向かわせても良いような者達ではなかった。
自分達BURKが、大人達が率先して、その「矢面」に立たなければならなかったのに。真っ先に「子供」を戦わせるような真似など、許されるはずがないというのに。
とうとう、最後の最後まで。彼ら6人がテンペラー軍団を撃滅したその時まで、琴乃達はその許し難い図式を変えることは出来なかったのである。
代われるものなら、いくらでも代わりたかった。なぜ彼らでなければならないのだ、なぜ彼らを戦
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