女傑編 ウルトラビートルファイト
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琴乃の言う通り、脱出装置を扱えないあやめを万一の際にサポートするためとして、今回は彼女の膝の上にちょこんと座っている状態なのだ。
あやめ以上に小柄なクーカはどれほど凄んでも威厳が皆無であり、涙目になりながら膨れている彼女を肩越しに一瞥しているアメリアと凛風は、にやにやと嫌らしい笑みを浮かべていた。ぷるぷると顔を赤らめているクーカを宥めるように、あやめは苦笑いを零しながらも、彼女の頭を優しく撫でている。
「全くあいつらは……! あやめ! お前のことは俺が守ってやるから、お前もしっかり自分の仕事をこなすんだぞっ!」
「は、はいっ! ……ありがとうございます、クーカさん」
――あやめの友人であり、BURK司令官の娘でもある風祭梨々子。彼女からの提案でBURKのプロモーション漫画を描くことになったあやめは、特別にBURKビートルに乗り込むことになったのである。
BURKビートルはテンペラー軍団との戦いの後に開発された最新型の戦闘機であり、当然ながらあやめはこの機体に搭乗した初めての民間人となる。その事実に震えながらも、彼女はこのチャンスをものにすべく懸命に、機内から見える全ての景色をスケッチしていた。
「……でもさぁ、こーんな退屈な哨戒任務なんてちゃんとしたネタになるの? どうせなら怪獣との戦闘を見せてあげたかったわねぇ。絶対イイ画になるのに」
「馬鹿を言うなアメリア、そもそもこの機体に民間人を乗せるということ自体が特例中の特例なのだぞ。……それに、そんな危険な現場にあやめを連れて行けるはずがなかろう」
「そりゃあ確かにそうなんだけど、アメリアの言うこともちょっと分かるわ。ねぇあやめ、あなたとしてはその辺どうなの?」
アメリアの発言を嗜めている琴乃の隣では、凛風が複雑な表情を浮かべていた。今回あやめが同行しているのは比較的安全な哨戒任務であり、戦闘になる可能性は非常に低い。
だからこそ同行の許可が降りたのだが、この哨戒任務が退屈でたまらないアメリアとしては、漫画の取材として成り立つのかという懸念もあったのだ。そんな彼女の思いを汲んだ凛風の言葉に暫し考え込んだ後、あやめは意を決したように顔を上げる。
「……確かに、皆さんが実際に戦ってる場面を見ることが出来たら、凄くカッコいい画になるなぁって思います。でも今回頂いた案件は、皆さんの『普段のお仕事』をPRするための作品なんです」
「……!」
「アメリアさん達にとっては退屈でも、それはとても大切なお仕事なんだってことを皆に伝えるための漫画を書く。それが私のお仕事なんですから、心配しないでください! せっかく頂いたチャンスなんですから、しっかりネタにして見せますっ!」
「……なんだか、自分が言ってたことが急に恥ずかしくなってきたわ」
「……あん
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