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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その八
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い」

「そうですね……」

 そう言って語り始めるデイジー。その内容は以前にプールで考えていたものと同じだ。手抜きとか言わないように。

「とまあ、そういうわけです……って何笑ってるんですか」

「いやまあ、若干一名の扱いの酷さにな……」

 流石、歩くセクハラダイナマイツ、といったところか。

「で、どうなんですか? 受けてもらえますか?」

「まあ、力になってやりたいのは山々なんだが……正直言って難しいと思うぞ?」

「駄目ですか?」

「いや、そういう意味じゃなくてな」

 少し間を置いた後、口を開く。

「俺はシアと初めて会ってからまだ一ヶ月も経っていないからな。デイジーが思っているほどの影響力は無い。それよりも……」

「それよりも……?」

「やっぱり稟を介したほうがいいと思うぞ?」

 とはいえ、稟もシアと出会ってからまだ三ヶ月ちょっとしか経っていない。正確には再会してから、だが。しかし、八年前の出会い以来、シアはずっと稟に対して恋心を抱き続けてきた。それ故にシアに対する影響力は、稟と柳哉では天と地ほどに違う。

「むぅ……」

「まあ、稟に対して思うところがあるのは分かるけどな? でも、デイジーが思っているほど悪い奴じゃないぞ、土見稟って男はな」

 やはり初対面時の“あれ”が尾を引いているのだろうが、それを気にしさえしなければ大丈夫だろう。

「……分かりました。とりあえず土見さんに話してみます」

「ああ。悪いな、力になれなくて」

「いえ、きっかけをもらえましたので」

「そうか。で、これで話は終わりかい?」

「はい」

 そうか、とつぶやき、校舎内に続く扉を睨みつける柳哉。首を傾げるデイジー。

「で、いつまでそこで聞き耳を立ててるつもりだ? 麻弓?」

 その言葉が発された直後、扉の向こうからがたん、という音がした。

「おっと、逃げるなよ? まあ別に逃げても構わんが、その場合、紅薔薇教諭の(しご)きが天国に思えるようなお仕置きを受けてもらうことになるぞ?」

 さも愉快そうに、しかし地の底から響いてくるような声で言い放ち、ぽかんとするデイジーを置いて扉に近づき、開ける。そこにいたのは……

「あ、あはははは。偶然なのですよ、水守くん」

 だらだらと嫌な汗を流している、バーベナのナイチチパパラッチこと麻弓=タイムだった。


          *     *     *     *     *     *


「まあ、大体の想像はついていたが……」

 麻弓から事情を聞き出し、ため息を一つ。

「だってねえ、“あの”土見くんと楓の幼馴染が手紙をもらって放課後の屋上に、そしてそこに現れた女生
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