暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その七
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「……」

「稟」

「……」

「おい稟!」

「あ、ああ。何だ?」

 何度か呼び掛け、ようやく返事をした稟に苦笑する。

「考えるのはいいんだが……考え過ぎるなよ。過ぎたるは及ばざるが如し、だ」

「ああ、そうだな」

 そこでふと気付く。

「前から思ってたんだが……お前、何でそんなに鋭いんだ? さっきの事といい、楓の事といい」

 確かに。稟は(あずか)り知らぬ事だが、魔王フォーベシイも柳哉の鋭さには注目している。

「前にも言ったと思うがな……色々、あったんだよ」

 苦笑いする柳哉。詳しく聞きたかった稟だが、やめておいた。何故かは分からない。でも……

(柳の奴、どこか辛そうだったな)

 そう、思った。


          *     *     *     *     *     *


 夕方になって、柳哉は芙蓉家を辞した。夕飯を摂って行くよう薦められたが、『お前達の愛の巣にこれ以上長居するわけにもいかないだろう?』と冗談交じりに言って断った。ちなみにその時、楓が『愛の巣……ぽー』と言って赤くなっていたのは余談だ。

(プリムラ……か)

 今日稟と話した内容を思い返す。稟には言わなかったが、プリムラが『大事にされ過ぎた』のはあくまでも“研究対象として”という可能性もある。それならばプリムラの感情表現が希薄なのも納得がいく。そもそも人間扱いされていないのなら、人間らしい感情を表すことなど出来ないだろうから。詳しくは知らないが、かつての“彼女達”もそうだったらしい。しかし、今の“彼女達”は……

(プリムラはいっそのこと“あの女子寮”に預けた方が……いやだめか。環境的にはいいが、性格面で悪影響が出かねん。何せあそこは“魔窟”だからな)

 その女子寮の一部住人が聞いたら柳哉とてただでは済まないだろう。肉体的にも精神的にも。そんな事を考えつつ、柳哉は帰路についた。 
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