第一章
[2]次話
家族を待つ猫
中学二年生の貝本美咲は家ではいつも飼い猫の白い雌猫のマリーと一緒にいる。
ご飯を食べる時を見て遊び相手になって寝る時も一緒だ。黒髪を長く伸ばし穏やかで楚々とした外見である。
その彼女を見てだ、両親は娘に言った。
「美咲は本当にマリーが好きだな」
「いつもつきっきりね」
「元々猫好きだし」
黒髪で眼鏡をかけた優しい顔立ちの父の拓武と大きな切れ長の目で小柄で胸の大きいやや茶色の長い髪の毛の母の苑子に答えた。
「マリーって凄く可愛い性格で私にも懐いているから」
「それでだな」
「いつも一緒にいるのね」
「お家にいる時はね」
学校そして部活の卓球に興じているか塾に行っていない時はというのだ。
「本当によ」
「いつも一緒にいたいんだな」
「そうなのね」
「うん、今だって一緒だしね」
見ればマリーは美咲の膝の上で丸くなっている、嬉しそうにごろごろと喉を鳴らしてそのうえでそうしている。
「これからもね」
「そうか、それじゃあな」
「仲良くしてあげてねこれからも」
「そうするわね」
美咲は両親に笑顔で応えた、だが。
ある日美咲は急に腹が痛くなってだ。
病院に担ぎ込まれると連絡を受けてすぐにそれぞれの職場を早退したうえで駆け付けた両親に言われた。
「盲腸らしいぞ」
「だから暫くは入院よ」
「そうなのね、まさか急になるなんてね」
美咲は両親の話を病院のベッドの中で聞いて言った。
「思わなかったけれど」
「仕方ないな」
「盲腸はそうしたものだからね」
「ええ、それじゃあね」
「手術を受けて回復するまでな」
「大人しくしていてね」
「そうするわね、その間ね」
美咲は両親に話した。
「マリーのことお願いね」
「ああ、大丈夫だ」
「マリーのことは任せてね」
両親も笑顔で約束した、だが。
毎日見舞いに来る中で美咲に話した。
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