暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その六
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ろからしか……」

「そうですか」

 聞けば、しつこいナンパ男に付きまとわれていた少女を助けたそうだ。ネリネも菫も与り知らぬところだが、先程のナンパ男は以前、桜をナンパしようとして柳哉に撃退された男と同一人物である。どうでもいいが。

「リンちゃん、その子、もしかして」

「はい。紹介しますね。柳哉さんの妹さんの菫さんです」

「始めまして。水守菫です。兄がお世話になっています」

「そしてこちらが……」

「始めまして。リシアンサスっていいます。長いのでシアって呼んでくださいね。あと柳哉くんにはお世話になってます。今日も英語の訳を教えてもらったし」

 互いに自己紹介を終える。

「それでこっちが……ってお父さん?」

「あ、ああ。すまねえ。シアの父親でユーストマってんだ。ま、よろしくな」

「神王様? どうかされましたか?」

 首を傾げるネリネ。

「いや、ちょっとな。嬢ちゃんが俺っちの知り合いに良く似てたんでつい、な」

(まさか……本当にそうなのか?)

 何とか取り繕ってはいるものの、内心では動揺が未だ収まっていない。目の前の水守菫という少女はユーストマの知る“彼女”の幼い頃と瓜二つだ。

(だが、あいつは死んだはずだ……それに)

 もし生きていたとしたら、なおさら辻褄が合わない。“開門”から十年。神界へ戻ってくることは充分にできたはずだ。何故戻ってこないのか? 今までに“神隠し”に遭った人々の一部がそうだったように人界(こちら)で家庭を持ったからか? しかしそれなら連絡の一つくらいは入れるだろう。事実、“開門”の直後はそういった連絡がいくつかあったのだから。
 それとも本当に良く似ているだけの赤の他人なのか? 世の中には自分にそっくりな人間が三人はいる、というがそれなのだろうか?

(……分からねえ。まー坊に相談してみるか)


          *     *     *     *     *     *


 一方。菫もまた平静を装っていたが、内心では焦っていた。

(まさかこんな形で遭遇してしまうなんて)

 あのナンパ男、次に会ったらただじゃおかない、と若干過激なことを考えながら対策を練る。

(どうやら兄さんの予想はほぼ確定と言っていいでしょうね)

 三日前、兄の口から語られたあの事実とそれに関連するあの予想。当たっていてほしくはない、そう言っていた兄の顔を思い出す。その想いは自分も同じだ。最悪の結末だけは避けなければならない。両親の想いを裏切ってまであの事実を自分に伝えてくれた兄に応えるためにも、これ以上の失態は許されない。

(敵は一世界の王。相手に取って不足はありません)

 態度にも口にも出さないが、それは“
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ