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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第111話:折れぬ槍
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 マリアの制止も聞かず、奏はオートスコアラーに向け突撃する。その進路を阻むべくノイズ達が奏の前に立ち塞がった。

「邪魔だッ!!」

 何故シンフォギアが分解されたのかは分からないが、あの妙な発光をする部分に絡繰りがある事だけは分かる。その部分からの攻撃だけは受けないようにと、奏は注意しつつ迫るノイズ達を片付けた。

 だが翼が倒れた事で精神が乱れていたのだろう。先程に比べて攻撃に精細さを欠いていた。四方八方から、様々な形で発光する器官が奏に襲い掛かる。

「ちっ、くそっ!?」

 何とかノイズからの攻撃を回避する奏だったが、敵はノイズだけではない。
 オートスコアラーを名乗る女性が竜巻を発生させ、奏に向けて放って来た。

「ハッ!」
「ッ! しま、うわぁぁぁぁぁっ!?」

 一瞬の隙を突かれ、オートスコアラーの巻き起こした竜巻に巻かれて吹き飛ばされる奏。洗濯機の中に放り込まれたように振り回されている内に、その手からアームドギアがもぎ取られる。

 そして竜巻から解放され、地面に落下する奏にノイズの追撃が突き刺さった。人型のノイズの腕部から伸びた発光する触手が奏のギアコンバーターを引っ叩いて地面に叩き落した。

「あぐっ?!」
「これで、終わり……」

 奏も倒れた事で、オートスコアラーは勝ち誇った顔をした。

 だがしかし、次に予想を裏切られたのはオートスコアラーの方だった。
 ノイズの触手で地面に叩き付けられた奏が、ふら付きながらも立ち上がったのだ。顔はダメージで痛みに歪み、口の端は切れて血が流れているが彼女のシンフォギアは翼と違い分解されていない。

「ッ!? 分解、されない?」

「か、奏、大丈夫なの?」
「ぐっ!? え? あぁ、大丈夫だ。まだ、戦える!」

 口の端の血を拭いながら、奏はアームドギアを構える。今だ戦意を失っていない奏を、オートスコアラーはそれまでとは打って変わって強く警戒した顔で睨み付けていた。

「貴方……何者?」
「は?」
「何故あなたの槍は砕かれないのかしら? 一体何をしたの?」

 何をしたのかなんて、そんなの奏が一番知りたい。何故自分のシンフォギアは翼のように分解されないのかは分からないが、はっきりしている事はただ一つ。奏はまだ戦えるという事だ。
 実際には先程の一撃で全身痛くて体がガタガタだが、翼とマリアを守る為にここで逃げると言う選択は奏の中になかった。

 ボロボロになりながらもアームドギアを構える奏に、オートスコアラーは言い知れぬ危機感を抱いた。この展開は完全にイレギュラー、ここで奏を放置すればいずれ必ず”主”の計画の障害となる。

「……致し方ありません。本来であればここでトドメを刺す事は予定にはありませんが……貴方は少々危険
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