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俺様勇者と武闘家日記
第2部
スー
アープの塔
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が立っているものだから、せっかくの広い室内が狭く感じられてもったいないなと思う。
 もちろん朝起きて早々このフロアも調べたのだが、結局笛らしきものは見つからなかった。
「ひょっとして、エドが言ったことが間違いだったとか……?」
「そんなはずない。エド、本当のことしか言わない」
 そうきっぱりとジョナスが言ったので、それについては信じざるを得ない。
「こうなると、他に考えられるのは隠し部屋くらいだな」
 そう言うと、ユウリは本棚だらけの辺りを見回した。怪しいとすれば、この不規則に並んでいるたくさんの本棚くらいだからだ。
 ユウリは立ち上がり、問題の本棚に近づいた。背表紙を見ると、いかにも頭が良い人が読んでそうなタイトルがずらりと並んでいる。
「本棚はバラバラなのに、本のジャンルはちゃんと整理されてるな」
 そう呟かれても首を傾げるしかない。タイトルを見てもそれがどういうジャンルに当てはまるのか、さっぱり見当もつかないからだ。
「あちこちに本棚を設置するような適当な奴が、ちゃんと種類ごと、順番どおりに本をしまってるのはおかしいと思わないか?」
「はあ……」
 本棚にしまってある本をよく見ると、確かに一から順番どおりに並んでいる。タイトルだけでは同じ種類かはよくわからないが、ユウリがそう感じてるのならそうなのだろう。
「お前ら……。ちょっとはその頭を考えるために使ったらどうだ?」
「あっ、おれはなんとなくわかりますよ! ていうかアネキと一緒にしないでください!」
 ルカが必死に手をあげながら同意する。最後は一言余計だよね?
「ということは、この本棚にヒントがあるってこと?」
「ああ。きっと何かある」
 その言葉を頼りに、私たちは早速本棚を調べ始めた。本棚の配置は見事にバラバラで、まるで迷路に迷い込んでいるようだった。
「『呪文による世界の律動について』『歴代魔法使い名鑑』『賢者と精霊の関係性』『禁忌の呪文』……。うーん、どれも難しそうな本ばっかり……」
 そもそも本棚をどう調べればいいんだろう。本を全部出してみるとか? でも本棚だけでも何十台もあるのに、その中にある何百冊もの本を出すだけで一体どれだけ時間がかかるのだろうか。すると、
「ユウリさん!! 中央にある本棚が動きません!!」
 どこからか、ルカがユウリを呼ぶ声が聞こえた。その声に反応し、皆一斉にルカの方に向かう。
「試しに押してみたんですけど、びくともしないんです。張り付いているようで」
「どいてみろ。ジョナス、手伝ってくれ」
 ユウリとジョナスで、その中央にある本棚を押してみる。だがルカの言うとおり、本棚は全く動かなかった。 試しに部屋の端にある本棚を動かしてみると、それは普通に動かすことかできた。何故だろう、と疑問に思っていると、
「本棚と言うより、
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