第一章
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猫は困った家族
中学一年生の井出佑子は両親がある猫の保護団体から貰ってきた白地に黒い虎模様がある雌猫を見て良信に尋ねた。
「この子何?」
「何って新しい家族だよ」
「あんたの妹よ」
父の雅之も母の佐緒里も笑顔で言ってきた、父は穏やかな面長の顔の額がやや広い中年男性で仕事はサラリーマンだ。母はやや肉付きのいい中年女性で優しい目で黒髪を後ろで束ねている。佑子は痩せていて長身だが顔立ちは母親似で額は父親似である。
「今日貰ってきたのよ」
「宜しくな、名前はタマにしたからな」
「名前も決めたの?っていうか私の妹なの」
佑子は眉を顰めさせて両親に聞き返した。
「そうなの」
「そうだぞ、家族だからな」
「そうなるわよ」
「だからな」
「これから宜しくね」
「そうなのね、急に言われたんで驚いてるわ」
佑子は口をへの字にさせて両親に応えた。
そうしてタマと家族になったが。
「お母さん、またよ」
「あら、タマテーブルの上に上がってるわね」
母は夕食の時にそうしている彼女を見て言った。
「困ったわね」
「ご飯取るわよ、今お刺身なのに」
まだ切ったばかりだがおかずはそれであるのだ、鮪である。
「困るわ」
「大丈夫よ、キャットフードしか食べないから」
「それでもテーブルに上がるなんて。あちこち歩いた足で」
「それ言ったら床の上も一緒でしょ」
母の返事は佑子からしてみればすげないものだった。
「だからね」
「気にしないこと?」
「そうよ、別にね」
「全く。お母さんもお父さんも甘過ぎるわよ」
まだ会社から帰っていない父のことも思った。
「娘って言うのなら躾ないと」
「言うことは言ってるわよ」
「我儘ばかり言ってて聞かないと噛んでくるのに?」
「それがいいんじゃないの」
「何処がいいのよ」
口をへの字にさせて言った、そして。
タマは二人が食事の間ずっとテーブルの上にいてだった。
父が帰ってもだった、食事の時は常にこうであり。
勉学に熱心な佑子が家で予習復習をしていると。
「あんたのお部屋に来てなの」
「ちょっとドアが空いていたらね」
リビングで新聞を読みながらだ、佑子は母に話した。
「来てね」
「お部屋の中で鳴いてなのね」
「ご飯やおやつ催促したり」
「遊べって言ってくるのね」
「それで無視していたら」
そうしていると、というのだ。
「噛んだり引っ掻いたりよ」
「そうなのね」
「それでいつも捕まえてお部屋から追い出してるけれど」
それでもというのだ。
「全く以てね」
「困るのね」
「そうよ、今だってね」
佑子はここでだった。
自分がリビングのテーブルの上に開いている新聞を見た、するとだった。
そこ
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