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少女は 見えない糸だけをたよりに
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 新学期が始まったのだろう、学生さんの動きが活発になってきた。そして、有沢さんがやってきた。

「香波ちゃん あいつからハガキが来たよ」と、見せてくれたが・・絵葉書に住所なんか書いてなかった。

 イカナゴ漁も終わるので、今度は、山形のサクランボの収穫農家にいこうと思うその後は、北海道に渡る計画 と、しか書かれてなかった。

「なんなの 素っ気ないの― どこに居るんか、わからんねー」と、私は、有沢さんに文句を言うように・・

「だよな こんな情報要らんよなー でも、元気そうやん」

「まぁね 身体壊してたら・・ねぇ 休学っていつまでー 帰って来るんでしょ」

「う うん わからん 1年ぐらいだと思うよ もっとかも 聞いてない」

「あなた達 親友なんでしょ どこ行ったかも いつまでかも 知らんって ねぇ あの人の実家は?」

「うーん 和歌山って言ってたかな」

「それだけ? ねえ 携帯は? 住所知らんの? 親友の あきれた もうー」

「怒ってるんかー 男って そんなもんだよ ごちゃごちゃ 聞かんしなー あいつ 壊れてから携帯使ってないんだよ」

「・・・ごめん ちょっとイライラしてた ごめんなさい 何にも、有沢さん 悪ないもんな」

 そして、6時頃、ゲンイチさんが来てくれたのだけど、私は、ポンとお水を置いただけで、何にも話さなかった。

「ハムカツ と ランチョンミート・チーズ お願いします」と、注文してきた時も。くるみちやんは愛想良くしていたけれど、私は「ハイ」と、言ったきりだった。

「香波ちゃん 何か 機嫌悪そうだね」と、ゲンさんが、わざわざカウンターの近くに来て言ってきた。

「そんなこと ないですよ 普通」と、眼も合わさないで、返事したら

「そんなことあるよー わかった くるみちゃんと合コンしたから すねてんだ」

「ちょ ちょっとー ゲンイチさん なんてこと・・ カナミには言ってないんだよ カナミ 隠していたんちゃうよ カナミはそんなこと興味ないかなって・・」と、くるみちゃんは焦っていたけど、私には、確かに、そんなことどうでも良かったのだ。ただ、ゲンさんは・・私のことを・・気を使って・・

「カナミはね 今日 情緒不安定なのよ 事情があってね だから、構わない方が良いよ」と、くるみちゃんは、クレープを出しながら言っていた。

「すみません くるみさん 自分は余計なことを言ってしまったみたいで でも、みんなは乗り気になっていて、又、集まろうって言っています」

「ゲンイチさん もう 良いから それ以上 話さないで・・それに、本当に、ウチはカナミに隠すつもりなかってんから」

「いいんよ くるみ 私 気にしてないから で、それで、ゲンさん お忙しかったんですね
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