第二章
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「ストレスが溜まるね」
「そうですね」
「そうなりますね」
「お互いに傷付け合って尻尾とか噛んだりするから」
そうなるからというのだ。
「豚の歯や耳をカットするんだ」
「痛そうですね」
「それもまた」
「産まれた時にするけれどね、あと母豚が授乳の時に寝転がると」
「その時もですか」
「何かあるんですか」
「狭いとそこで間違って自分の子供の上に寝て押し潰すからね」
そうなるからだというのだ。
「母豚をずっと立たせる様にケージに入れて動けなくするんだ」
「それも大変ですね」
「とんでもないことですね」
「母豚にかかる負担は大変だよ、しかもね」
由良は彭と高田にさらに話した。
「子豚が死ぬのは可哀想じゃなくて商品が減る」
「だからですね」
「そうならない様にするんですね」
「最初から狭いところに入れてるしね、勿論掃除も殆どしないし」
その豚小屋の中はというのだ。
「食べものだって粗末でそして期間になればね」
「出荷ですね」
「肉にするんですね」
「そうだよ、そんな養豚場もあるんだ」
二人に暗い顔で話した。
「勿論我々だって生活があるから」
「何でも充実させられないですね」
「いい環境にするにもお金がかかりますし」
「出来ることと出来ないことがありますね」
「どうしても」
「お金と技術の関係でね」
この二つの現実がありというのだ。
「どうしてもね、けれど完全に儲けることだけで」
「それだけを考えて」
「豚をそう扱う養豚場もあるんですね」
「そうだよ、それが現実だよ」
由良は二人だけでなく他の生徒達にも話した、そしてだった。
研修の後でだ、彭は高田に話した。
「ただ家畜として育てて出荷するだけじゃないな」
「ああ、命だからな」
高田も応えた、二人は帰りの学校のバスの中で話している。
「そのことも考えてな」
「お金とも相談しないといけないにしても」
「儲けることばかり考えて」
「それで碌でもない扱いをしたら駄目だな」
「そうだよな、それにそんな扱いを受けた豚が肉になっても」
例えそうなってもというのだ。
「まずいな」
「そうに決まってるな」
「そうだよな」
「そのことを考えるとな」
「出来る限り家畜も大事にしないとな」
二人で帰りのバスの中で話した、窓から景色が見えるが二人は今は景色は見えていなかった。そこにはいない豚達だけがいて。
この日のことは二人の糧になった、家畜もまた命であり出来る限り大事にしなければならないことを心に刻んで。そして大事に育てられた家畜はだった。
「美味いな」
「ああ、本当にな」
二人で研修に行った養豚場の豚のベーコン焼いたそれを食べつつ話した、それで尚更家畜は大事に育てようと誓ったのだった。
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