第一章
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養豚場の裏側
宮沢賢治のフランドル農学校の豚という作品を読んでだった。
中国の吉安から八条学園高等部農業科に通っている彭明流は真剣な顔でクラスメイトの高田幸雄に言った。
「食われる方の豚にとっちゃ嫌なことだよな」
「誰だって食われるのは嫌だろ」
高田は彭にこう返した、彼の背は一七六程で細面で黒髪を左で分けている。四角い眼鏡で目はきりっとしている。
「豚も牛もな」
「そうだな、俺の家は養鶏場だけれどな」
彭は実家の話もした、背は一七二位で黒髪はスポーツ刈りだ、顎の辺りがすっきりとしていて丸い目で痩せている。
「卵にな」
「肉も売ってるよな」
「ああ、やっぱり鶏もな」
「食われるのは嫌だよ」
「そうだよな」
高田の言葉に頷いて応えた。
「どうしても」
「ああ、それで今度俺達もな」
高田は自分の言葉に頷いた彭にさらに話した。
「養豚場に行ってな」
「実際にどんな場所か見るな」
「そうするからな」
「食われる豚のことも考えるか」
「それでどんな場所か観ような」
こう言ってだった。
実際に彭達は養豚場に研修に行った、そうして実際にどんな場所か観たが豚達は清潔で適度な広さがある場所で快適に飼育されていた。
「環境がよくないといい豚にならないんだな」
「そりゃそうだよな」
彭は高田と一緒にそこの豚達を観つつ言った。
「豚も鶏もちゃんと育てないとな」
「碌でもないもの食って碌でもないところにいるとな」
「不健康になってな」
「味が落ちるさ」
「そうだよな」
「俺の家はハウス栽培だけれどな」
高田も自分の家の話をした。
「水や土が悪いとな」
「まずくなるか」
「どうしてもな」
「家畜も環境次第だな」
「そうだな」
「その通りだよ」
ここで養豚場の経営者である由良学も言ってきた、一八三程の背で長方形の顔に丸い目と分厚い小さな唇を持ち眼鏡をかけている。
「豚もしっかりした環境で育てないとね」
「味がよくならないですね」
「そうなんですね」
「そうだよ、それにね」
由良は二人にさらに話した。
「豚も可哀想だしね」
「食べられるにしても」
「それまでは」
「そうだよ、食べられるにしても」
その運命は決まっているがというのだ。
「それでもそれまではね」
「いい環境で育てる」
「そうすべきですね」
「命だからね、けれどね」
ここでだった、由良は。
暗い顔になってだ、二人に話したのだった。
「中には酷い養豚場もあってね」
「こことは違って」
「列厚な環境ですか」
「ここよりずっと狭い場所に五千頭も入れて」
「いや、無理ですよ」
彭は由良の話に顔を顰めさせて返した。
「ここより狭いのにですか
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