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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(11)〜基地主戦陣地攻防(上)〜
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をかけろ!! 白兵戦用意!! 私に続け、血路を切り――」

 フランダンは見誤っていた。彼らは侵略者であり――ここは【敵国】であることを。そこで”足を止めてしまった”失態の重さを。



その数分前のことである。
「エル・ファシルの、いい仕事をするじゃあないか!!」

「あちらも元気がよろしいですな」
 指し示すほうではエル・ファシルの防衛線を構築していた部隊がいきなり突撃を仕掛けて敵と並行追撃を仕掛けている。

「騎乗隊、前へ!!」

「……おい、貴様ら! 山岳最強は誰だ!
同盟常備陸軍のお行儀の良い山岳師団か?
正墨旗の砦守か? アスカリ達の山岳工兵旅団か?」
 ターイーは罵倒するように吠える。
「「ハミディイェだ! ハミディイェだ!! 俺達だ!」」
 兵たちはそれを同様の口調で返す。

「大変結構! そしてここは何処だ!! 雪山だ!! ここでの最強は誰だ!?」

「「我々ハミディイェだ! 我々ハミディイェだ!!!」」

「大変結構!!! それでは踏み潰すぞ!!! 駱駝騎兵ィ! 前へ!」

「喇叭を鳴らせ!!!」

「ムサンダム・アクバル!!!」
 400騎の駱駝騎兵と800名の強襲歩兵で編成された突撃部隊は、刃を抜き放ち集中砲火により指揮統制が崩壊しつつある帝国軍装甲重火力旅団へ突撃を開始した。
 ターイーという男はひどく性格が悪い博徒であった。彼は突撃の際に敵兵が巡航隊を背後に見えるように自己演出を怠らなかった。そしてこの博打は大当たりであった。帝国将兵は沈む巡航艦を背景に駱駝騎兵が突撃してくる姿を見ることになる。
 パニックは拡大し、燃え広がり、狂奔した。
その中で比較的統制を保っている小規模中隊ほどの集まりにターイー達は殺到する。

 歩兵の一部が擲弾を放ち数人を噴き飛ばすが兵達は怯まず白兵戦と射撃で食い止めようとする。だがターイーが先頭に立った最精鋭の突撃はついに届いた。
 どう、とフランダンは倒れ伏す。幕僚と従兵達も”義務を果たし”倒れている。彼らがヴァルハラに旅立てるだろう、不名誉はなかった。
「グッ……ハハハッ!  共和主義者め! オリオンに居ればさぞ厚遇されたろうに愚か者め!」
 ターイーの駱駝が唾を吐き、空中で凍り付くのと同時にフランダンの首から鮮血が噴出した。
「クソッタレの封建領主め、ウチの国に産まれてれば俺の苦労を押し付けられたろうに!」
 ターイー戦闘団は装甲旅団の迂回と巡航隊の排除に成功した。彼らはヴァンフリート民主共和国英雄の勲章を授与されることが確定した。その生死を問わず。

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