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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(11)〜基地主戦陣地攻防(上)〜
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ね」

「まさか使う時が来るとは――奴らに食らわせてやる機会があるのは幸福かもしれんがね。死ななければ」
 皮肉を無視して派遣参謀たるバドウ少佐は端末を見る。画像が乱れてとても見れたものではない――満足げにうなずき、行動を促す。
「嵐が来ました、ニュースロット大隊長殿」

「あぁ頃合いだね、こちらも始めよう、剣牙虎を前へ!」
 断熱材やらあれこれを被せらえた偽装をはぎ取り、ヴァンフリート工兵が巡らせたトンネルを突き破る。
 そこはちょっとした氷の丘の上、巡航艦隊を捉えるには十分に距離を詰めた危険な場所。
 
「隊長車両停止」
 だが無線も乱れ切った”今だけ”は関係がないのだ。
「停止、各車両停止確認、所定の指示に従い直接照準」
 そしてそれは――何もかもが無論電子戦においても敗北した時に”原始的”な方法で敵に一矢報いることを想定した奇形児、剣牙虎が想定した状況であった。

「直接照準! たっぷり喰らえ!」

「教本通りにかましてやれ!」
 5秒間に一発、20を超える門数の砲が火を噴き、3隻の全長576mの艦へ襲い掛かる。
 特に悲惨なのが旗艦であるシュヴァルツアドラーであった。当然のように集中砲火を受ける。

「オフェンブルク姿勢制御困難!! ホーホコップフ居住区画爆破炎上!」
「マインゴット! 撤退だわが艦は……」
「機関破損! 畜生! 推進剤タンクがやられた!」

「側砲手は何をしとるか! 早く撃て!」

「推進剤流出が止まりません!! 助けてくれ!」

「ワルキューレ格納庫から火災発生! 誘爆します!」

「シュヴァルツアドラーが! シュヴァルツアドラーが沈む!」


「戦隊旗艦シュヴァルツアドラー、Untergang(沈没)!! シュヴァルツアドラー、Untergang(沈没)!!!!」
 ヴァンフリート4=2基地攻防戦の終盤を告げるのはこの報告であった、とも言われている。




「部隊の把握を急げ!」


「……! 無線が機能しません! 恒星嵐です!!」

 フランダン伯の舞台も混乱しきっていた。良くも悪くも彼らはイゼルローン回廊の中で戦ってきたのである。だがそれでも旅団本部は実戦経験者で固められていた。
「落ちつけ、全隊白兵戦用意をとれ!! 後退用意とワルキューレ隊への連絡を!」


「閣下! 閣下! あれを!!」

「……巡航艦隊が沈む!?」
 素早くフランダンは耳を澄ませ、周囲を見回す。彼は貴族であるのと同時に将校としての経験も積んでいた。つまるところ兵下士官の統制というものの面倒さを知っていたのだ。
 ――やられた! このままだと士気崩壊が起きかねんぞ!


「かくなる上は包囲を突破する他あるまい。統制の及ぶ限りに集合
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