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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(11)〜基地主戦陣地攻防(上)〜
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 そして派手な包囲陣の後方からひそやかに機動する者たちもいる。フランダン伯の装甲旅団である。
「偵察兵が戻りました。敵守備隊はおりません」


「やはりか。よし、ここを抜ければ敵の基地主戦陣地を射程に入れるまで防衛線が無いぞ」


「地雷原で道が塞がれています」


「ふん。叛徒どもめ、所詮は寡兵だ。急ごしらえの小細工だな。この回廊を抜けるまであと少しだ。地雷原の撤去を急いでくれ」

「閣下、ですが隘路で戦列が伸びきっています。今襲われたらひとたまりもありません。排除が終わるまで本陣を後方へ動かすべきです」


「地雷原を設置したのなら重火力を中心とした陣地がある筈だ、それがないのは……何故か」答えはあれだよ、と巡航隊をフランダンは指す。



「対空火力を揃えない限り退くしかない。我々がここを通ると確信し、防衛陣地線を空にでもしなければ、奴らには今、こんな場所にまで兵力を割く余裕は無いのだ。孺子は良い仕事をした――が奴らの引き立て役になっては諸侯のとりまとめができん。そうなったらフランダンが”あの”コーブルク侯レオポルト2世の風下に立ったままだぞ! わかっているのか!!!」

 いやまぁお気持ちは痛いほどわかりますが、と幕僚長はなだめる。
ルドルフ大帝が好んだ”自然由来”の薬を得るために劣等人種の農奴をかき集めてノルマに達しなければ腕を切り落とす帝国の”健康的奢侈品”の闇を担い、かの『“最も偉大なる悪き財務尚書”カストロプ公』『“古典的貴族筆頭”リッテンハイム侯爵』も黙って首を振り、“大官”リヒテンラーデ国務尚書の胃潰瘍の源泉の一つとして知られる”真の漢”……そりゃ嫌である。
「しかし哨戒ドローンや通信妨害すらありません。あまりにも静かすぎます。兵力の配置を放棄しても情報を得ないはずがありません。これは罠では?」

「なに、叛徒の姑息な企みなど罠もろとも粉砕してくれるわ。このわけのわからん叛徒の堅城を陥とすまであと一歩なのだ。不確定要素を優先させて目の前の勝利を見逃せと? そうはならん! ここで勝って恩寵の車両工場を領内に作ってもらうのだ!!!」
 幕僚長が熱くなった目頭を押さえるのと同時に、ズドン! と彼らが話す数百メートル後ろで装甲車が爆炎を上げた。
「伏撃だとぉ!? まっ……待て! アレはなんだ!」




「……しかし無茶をするものだ」


「エル・ファシル地上軍本土決戦用対空車両“剣牙虎”。火薬式130mm高射砲2連装、標準引力における有効高度は35,000m。決意と恨みと意地で包んで総動員だ、はっ! 130mmなんてヴァラーハやヴァンフリートでさえ拠点防衛システムとしてしか使ってないんじゃないか? ――こんな兵器を作ったエル・ファシル軍の開発部門を恨むんだ
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