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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(11)〜基地主戦陣地攻防(上)〜
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に身を寄せた交戦星域人民とラウール提督ら宇宙艦隊の勝利に終わった事を!」

「そう! この地で始まった戦いは先人達の驚嘆すべき勇気と忍耐によって勝利に終わったのだ!
だがこ、この戦いは耐えるだけのものとは違う! 我々が守り抜くものは侵略者の集う砦を打ち倒す勇者達の足がかりである! わ、我々がここを守り抜けば、そ、その勝利と勇気が報われる日である!」
 息を吸い込む。セレブレッゼは基地司令官としての務めを果たさねばならない。
「我らの父祖の如くこの日を偉大な日としよう! ヴァンフリート人民と共に自由惑星同盟は再び勝利の旗を掲げるのだ!
勝利と共に故郷へ凱旋しよう! ――勇気を奮え! 自由惑星同盟万歳!!」





「司令官閣下……」
 基地の兵士たちの顔は見えない。だがそれでもリューネブルクには敵方の情動は“見てきた”ようにわかる。

「闘争心や敵愾心に火をつけられたな。叛徒共め、将兵の士気が高まっているのが手に取る様に分かる。……士気、か、あぁ全く面倒な事だ。なぁ君、我らの兵が何を望むかわかるか?」
 リューネブルクは頬を吊り上げる。
「“いかなる宣伝も大衆に好まれるものでなければならず、その知的水準は宣伝の対象となる大衆のうちの最低レベルの人々が理解できるように調整されねばならない。獲得すべき大衆の数が多くなるにつれ、宣伝の知的程度はますます低く抑えねばならない”……そして私は幾万の農奴上りの前にいる」

 幕僚長は眉をひそめ、首を左右に振る。彼は良くも悪くも都市中産層出身であり、知的な軍将校であった。
「アレがある限り総崩れはないでしょう」

「……あぁその通り、連中もそう思っているさ」
 リューネブルクは基地を顎でしゃくり、皮肉に笑うと回線を開く。


「忠勇なる帝国兵……金が欲しいか!?」

「土地が欲しいか!? 建物を買い上げたいか!?」

 兵達は黙りこくる。だがその沈黙の意味をリューネブルクは知っている。
「兵たちよ! 目の前にあるのは宝の山だ!」

「邪魔するのは叛徒だ! 構わず殺せ!」

「武勲を得ろ! 財をわけてやろう!」

「前へ進め! 斧を振るえ! 敵を殺せ!!」

「皇帝陛下に武勲を示せ! さすればお前たちは身を立てることができる!!」

「皇帝陛下の名の下に叛徒をぶっ殺せッ!! 基地を我々のものに!! 力を示せ! 富を勝ち取るのだ!」

「…………」
 兵の一人が武器を構える。そこには殺意がこもっていた。
「ウォォォォォ!!!!」
「「オォォォォォォォォォ!!!!!!」」
 咆哮は連鎖する、雪原の吸い取る許容量を、熱も、音も超えたのだ。
 ヴァンフリート4=2はいよいよもって凄惨な戦の幕開けに相応しい熱気を持ち始めた。


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