第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その3
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秘密裏にカリーニングラードより発信した数隻のタンカー
タンカーは、特別に改造された戦術機母艦であり、戦術機を複数搭載していた
その船団の旗艦艦内で、男達が一室に集められる
これからの作戦に関して、密議を凝らしていた
KGB「アルファ」部隊司令を務める大佐から、説明がなされる
「諸君、今回は特別任務だ。ゼオライマーごと、木原マサキを抹殺する」
一人の隊員が呟く
「あのいけ好かない黄色猿か、嬲り殺しにしてやるぜ」
大佐は歩き回りながら、説明を続けた
「我々、KGBが水面下で進めていた東ドイツのクーデターをベルリン民族主義政権と共に邪魔した」
雄々しい声と共に、軍靴の音が、室内に響き渡る
「その事を近々開かれるニューヨークの国連総会で、暴露するとの情報が入った」
先程の隊員とは、別な男が口を挟んだ
「日本野郎め……、そこまで許せば、ファシスト共が増々デカい顔をし始めますな」
立ち止まると、隊員の方に振り返る
「そこで、我らが出番だ。
これよりベルリンの民族主義者共に懲罰を与える」
両腕を腰に当て、力強く叫ぶ
「この船に搭載された戦術機を使い、奴等に恥を知らせようではないか」
その場に、勝ち鬨が上がる
男達は戦術機に乗り込むために船室より甲板に移動した
「我等は、東ドイツの戦術機部隊に陽動を掛ける」
バルト海の冷たい夜風が、纏っている強化装備に吹き付ける
「ゼオライマーは出てきても相手にするな。30分後にミサイルをぶち込む手筈になっている」
不安を感じた男は、大佐に尋ねる
「同志大佐、NATOへの宣戦布告になりませんか」
大佐は、甲板にある煙草盆の前に立ち止まると、彼等の方を振り返った
「バルト海で、核実験をするのと変わらぬ。
諸君らの懸念している人的被害は最小限度で済む」
手に持った黒色の口付煙草の紙箱
封を乱雑に開け、煙草を抜き出す
オリエント葉の割合が多い『カズベック』
左手に持った煙草の吸い口を、右手で潰す
噛む様にして、口に咥える
酒保でも、中々手に入らない闕乏品
「既に深夜だ。操業している漁船も貨物船も、この海域には居ない」
紙箱から取り出した煙草を、周囲の人間に一本づつ配る
懐中より取り出した紙マッチの封を開け、千切ったマッチを勢いよく擦る
回し飲みする様にして、一本のマッチで数本のタバコに火が点けられた
「ベルリンの民族主義政権は、この中距離核ミサイルで心胆を寒からしめるであろう」
悠々と紫煙を燻らせる大佐に、隊員の一人は尋ねた
「同志議長の狙いはそこにあると……」
男は、不敵の笑みを浮かべ
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