212 イスラムの戦士、サラディン
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義教は数秒後に光と化していった。
「やったか・・・」
「よくやった!そしてそこの者、礼を言っておく」
「いえ、私達ももう少し早く来ていれば・・・」
その歌人のような人物に連れられていたかのように四人の少年少女が雲に乗って現れる。
「遅くなってごめんたい!」
博多弁で一人の少女が謝った。
(福岡から来た子か・・・)
三河口はすぐに察した。
「いや、気にしないでいいよ。この人達に助けられたからね」
「そこの少年少女よ。貴様らは確か『雷の山』の守護に赴く者達だな?」
サラディンが確認する。
「あ、はい!」
「あそこはこの世界でも重要な場所と聞く。急いで合流したまえ」
「はい!」
「では、私も失礼」
「道真さん、行こう!」
道真と呼ばれた人物と四人組の小学生は雲に乗って移動した。
「ところでサラディンとか言ったな?」
「何だ?」
「聞いた話ではイスラムの為に戦い、エジプトやシリアを征服し、十字軍と激しい戦いを行ったそうだが、俺達はあんたが信仰しているイスラム教の人間でも敵対していたキリスト教徒でもない。そんな人間にも味方になってくれるのか?イスラム教は異教徒には厳しいというイメージがあるんだ」
三河口は質問した。
「確かに貴様の言う通り、私はアラーの為に戦って来た。だが、他の宗教が悪いという考えではない。私は戦士であっても無駄な殺戮は避けたい身であり、武器を持たぬものを殺すなどといった事は野蛮な事。戦士のやる事ではないのだ。私は誰がどの宗教を信仰するのは自由だと考えている。だからこそ、私は貴様らに助太刀したのだ」
「そうか、ありがとう。また会ったら一緒に戦おう」
「そうだね、剣を奪還した勇士どもよ。本部の者も待っているぞ」
「ああ、失礼する」
三河口達は冬田の羽根でまた移動するのだった。
「よし、東へ向かうぞ!」
サラディンは兵を率いて東へと進むのであった。
羽井玲衣子。本部近辺の守備を担う福岡の小学生であり、学校の友達三名と共に雷の山へと急ぐ。
「道真さん、あの雷の山ってのはどげんとこなん?」
玲衣子の友人の一人・吉原千鶴は道真に聞く。
「雷の力の源となる山ですよ。私は嘗てそこに住んでいたのです」
「よし、うちらで取り戻したるばい!」
本部の一室では剣を輸送する三河口から連絡が来ていた。
『こちら三河口健!義教とかいう奴の襲撃をサラディンや本部守備班の小学生達の援護で何とか切り抜けた!今そちらへ向かう!』
「了解。気を付けて行って来てくれ」
イマヌエルが応答した。
「健ちゃん、あともう少しだから頑張るんよ!」
『おばさん・・・。はい!』
連絡が終了した。
「あのサラディンって人は凄い人なのね」
まき子は感心した。
「ああ、
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