第113話 上洛 前編
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めの生け贄になって貰う必要があります。
何進様には申し訳ないですが。
私は遣る瀬無い気持ちを紛らわせるように、馬上より蒼天の空へ目を向けました。
澄み渡る空は私の思いめぐらす考えと違い、どこまでも澄み渡っていました。
「正宗様、揚羽様よりお言伝を携え真悠殿が参っております」
榮菜は私の元に到着すると下馬し、片膝をつき拱手をし言いました。
真悠も榮菜に倣い、榮菜の少し後方で同じようにしました。
「真悠、久しぶりだな。ところでわざわざお前を寄越すとは余程重要なことなのだろうな」
私は真悠の様子を馬上より伺い声をかけました。
「義兄上、ご明察です。それとおめでとうございます」
真悠は冥琳に一度視線を送ると、次に私の表情を伺い意地の悪い笑みを浮か答えた。
彼女は既に冥琳のことを承知済みのような気がしました。
司馬の情報網恐るべし。
「要件は何だ?」
俺は嘆息し、真悠に言いました。
揚羽も承知の上だろうと確信し、揚羽への説明も増えたことで先ほどまで記憶に隅に置いていた麗羽のことを思い出しました。
逃れられないのは分かっていたことです。
くよくよしても仕方ないです。
ああ、なるようになれ。
真悠は私と麗羽が修羅場になることを面白がっているのでしょう。
「人払いをお願いいたします。申し訳ないが榮菜殿も席を外していただけるか」
真悠は申し訳なさそうに榮菜へ言った。
「わかった。正宗様、兵達には大休止を取らせますがよろしいでしょうか?」
「榮菜、よろしく頼む」
私が許可を出すと、榮菜は私の元を去り、兵士達に指示を出し始めました。
真悠はその光景を見つめ、周囲に人が居ないことを確認すると私に向き直り会話を再開しました。
「数日中のうちに朝廷の使者が義兄上のもとを訪ねられます」
揚羽が冥琳の件で真悠を送る訳がないと思っていましたが、何故か私はホッとしました。
「俺は行軍中だ。使者には私が戻るまで、政庁にてご逗留願え」
朝廷の使者。
多分、幽州で官位を要求した件でしょう。
「義兄上が幽州に出征していることは使者は承知しています。使者は帰還中の義兄上の元に向っています」
「そうか・・・・・・。使者は随分と急いでいるようだな。揚羽は何と言っていた」
私は思案しても無意味と思い、真悠に、その答えを求めました。
「近々、洛陽にて陛下直属の常備軍を創設するという噂がございます」
「常備軍だと!」
冥琳は驚愕した表情で真悠に声をかけました。
私の知る歴史で劉宏が創設した常備軍といえば「西園三軍」でしょうか。
西園三軍は西園軍とも呼ばれる皇帝直属軍、劉宏自身が無上将軍と称し最高指揮官として君臨し、八人の校尉を従え、各校尉が軍を
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